10日まで静岡で指導者のB級ライセンスの講習に参加してきました。講習は5泊6日の日程。コーチング理論についての講義はもちろん、グラウンドに出ての実践トレーニングや筆記試験もあり、盛りだくさんのスケジュールでした。

 今回、一緒に講習に参加したのは25名ほど。オフシーズンの選手を主に対象としたコースだったため、各クラブからメンバーが集まっていました。

 柳沢敦(ベガルタ仙台)、藤本主税(ロアッソ熊本)、黒部光昭(カターレ富山)といった同期も多く、真剣な中にも和気あいあいとした雰囲気で講習は進んでいきました。他にも播戸竜二(セレッソ大阪)や本山雅志、中田浩二(いずれも鹿島アントラーズ)、大黒将志(横浜F・マリノス)といった元日本代表選手もいましたから、なかなか豪華でしたね。

 変わったところでは、現在、日本代表で通訳をしている矢野大輔も参加していました。彼とは初対面でしたが、ちょうど宿舎で同部屋になり、いろんな話を聞けておもしろかったです。

 彼が講習を受けているのは、ライセンス取得よりも、さらに通訳としてのスキルアップを図るため。単に言葉を訳すだけではなく、戦術やスポーツ医学などの専門知識を踏まえた上で、監督の意図を的確に選手やメディアに伝えたいと考えているようです。年下ながら、その勉強熱心さには感心させられました。

 また、播戸とも部屋が一緒だったため、夜はサッカー談議に花を咲かせましたね。同じストライカーとしてゴールに対する思いや、サッカーに取り組む姿勢など大いに刺激になりました。

 今回の講習はゆくゆく指導者になる上で役立つのみならず、現役でプレーする上でもヒントになることがたくさんありました。今まで長年の経験で感覚で分かっていたことを、より理論立てて理解できたからです。

 同じ内容を伝えるにしても、さまざまなアプローチがあると知ったことも収穫です。実践では選手役とコーチ役に分かれ、ミニゲームなどを行いながら、コーチ役が目的に沿った指示を出していきます。

 もちろん、そのやり方は人によって異なります。講師のアドバイスを受けながら、どうすれば的確な指示が出せるかを考えるのは興味深い作業でした。

 加えて選手役としてのプレーも、いいフィジカルトレーニングになりましたね。いくら講習とはいえ、選手役が一生懸命やらないと、コーチ役にとってもいい実践になりません。ボールを真剣に追い、全力で走るうちに5日間でかなり体も仕上がったように感じます(笑)。

 愛媛から車で来た上に、頭も体もフル回転の5日間で少し疲れましたが、それ以上に有意義な時間となりました。講習はまた15日から再開します。それまではしばらく関東を拠点にトレーニングを行う予定です。

 肝心の所属先ですが、現状はまだ決まっていません。早く次のチームを決めて、新たなスタートを切りたいのはヤマヤマですが、こればかりは相手のあること。声がかかるのを待ち続けるしかないと思っています。

 もちろん、このまま浪人するわけにはいきませんから、こちらもさまざまなルートを使ってアプローチはしているところです。1日も早く皆さんにいい報告ができるよう僕も願っています。皆さんにも信じて待っていてもらえるとうれしいです。

(この連載は毎月第2、4木曜更新です)
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