巨人からFA宣言し、メジャーリーグ移籍を希望していた高橋尚成投手がニューヨーク・メッツとマイナー契約を結んだ。年俸は現地メディアの報道によるとメジャー昇格した場合、100万ドル(約9000万円)。20日から招待選手として、フロリダ州ポートセントルーシーで行われるメジャーのスプリングトレーニングに参加する。メッツには今季、五十嵐亮太が東京ヤクルトから移籍しており、メジャー契約を果たせば、チーム通算12人目の日本人選手となる。球団では先発に加え、左のリリーバーとして期待している模様だ。
 高橋は修徳高、駒澤大、東芝を経て、2000年に逆指名で巨人に入団。1年目に初先発初勝利をあげるなど、9勝6敗の成績で先発ローテーションの座を勝ち取った。スピードは決して速くないが、スクリューボールを含む変化球とコントロールが武器だ。06年にはシーズン途中から抑えも経験し、2勝6敗15セーブ。翌07年には先発に戻り、最優秀防御率(2.75)のタイトルを獲得している。昨季は10勝6敗、防御率2.94の成績だった。NPB10年間での成績は245試合、79勝66敗15セーブ、防御率3.70。

 日本球界では実績のある左腕だが、今年で35歳となる年齢もネックとなり、MLB各球団の動きは遅かった。しかも提示された条件はいずれもマイナー契約。高橋本人の希望とはかけ離れた内容だった。だが、スプリングトレーニングの始まるこの時期に所属が決まらなければ、状況はさらに厳しくなる。米国でのプレーを優先するには高橋サイドが折れざるを得なかった。球威があるタイプではなく、日本でも入団以来、常にホームランをシーズン10本以上浴びている。今回のMLB側の評価からもわかるように、米国で成功するにはこれからが険しい道のりだ。