グラクソ・スミスクライン株式会社が運営する喘息情報ウェブサイト「Zensoku.jp」にて、当HP編集長・二宮清純がナビゲーターを務める対談シリーズ「二宮清純のゼンソク人間学」が好評配信中です。幼い頃から喘息に悩まされてきた二宮が、病気を克服して活躍しているスポーツ選手、元選手と対談。喘息をいかに乗り越えるかというテーマで話を進める中で、この病気への理解を深め、患者さんを勇気づけることを目指しています。同シリーズでは現在、プロトライアスリートの庭田清美選手、東京アレルギー・喘息研究所所長の佐野靖之先生との対談を公開中です!

(写真:庭田選手(中央)、佐野先生(左)と記念撮影)
 当サイトでは対談の一部を特別にご紹介します。
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 最も多いのは50代からの発症

二宮: 庭田選手はオーストラリアを拠点に活動されています。向こうは真夏だけあって、いい色に焼けていらっしゃいますね。健康そうで喘息とは思えません。発症したのはいつですか?
庭田: 2007年ですから、約3年前です。その前から呼吸が変だったことはあったのですが、喘息だとは気付きませんでした。3年前のその時はもう本当にひどい発作が練習中に起きたんです。走っていたら、そんなに速いペースではないのに、1キロくらいのところで息が吸いたくても吸えなくなって、足も動かない状態になってしまったんです。「大丈夫か?」って声をかけられても答えられない。それを見ていたコーチが「キヨミ、喘息じゃないのか?」って。

二宮: それまでに呼吸が苦しくなった経験は?
庭田: その何年か前に冬の練習中、自転車に乗っていて喉がプルプルプルと痙攣して呼吸がしにくいことがありましたね。私は余分な脂肪が喉の周りについて震えているのかなと思っていました。「あんまり太っているつもりはないんだけど、この間アイス食べたからかな……」とか(笑)。それは数日で治まったので、あまり気に留めていませんでした。今、振り返れば、夜に咳き込むこともよくありましたが、それも風邪をひいたのかなと思っていたんです。

二宮: 3年前というと、庭田選手にとっては30代後半にさしかかる年齢です。その年代で発症するケースは、多いんですか?
佐野: 実は喘息というと、みなさん小児喘息を連想されると思いますが、一番発症が多いのが50代。次が40代、60代。30代も少なくないんですよ。ところが、みなさん喘息だとは思わないので、適切な治療を受けないまま、だんだん症状が悪化してしまうんです。

二宮: 加齢して発症する場合は何か原因があるのでしょうか?
佐野: 体質的に何か因子を持っている方が多いですね。若いうちは症状が出なかったのが、年齢を重ねるとともに次第に気道が敏感になっていく。そこへ疲れや環境の要素や風邪などが重なって発症してしまう。庭田選手がそうだったように、最初は症状が軽いんですね。軽いだけに最初は風邪などと勘違いするようです。

二宮: トライアスロンは、あらゆるスポーツの中でも過酷な部類に入ります。スイムにバイクにランと3つの競技をこなさなくてはいけない。どのような治療を?
庭田: その時はオーストラリアにいて、検査も簡易的なものしか受けられなかったので、とりあえず「もし何かあったら大変だから」と、トライアスロン連合を通じて申請をして、発作を抑える吸入薬を処方していただきました。それを練習の時に使って発作が出るのを抑えていたんです。練習中はコーチから「ちょっとでもおかしいと思ったら練習はストップしろ」と言われていました。そして北京五輪前に日本へ帰国した際に、JISS(国立スポーツ科学センター)のドクターから、「ちゃんとテストをして治療したほうが良いよ」と勧められて、そのときから発作を起こさないための薬を使い始めたんです。
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 後編は4月12日に更新します。今後もアテネ、北京と五輪2連覇を達成した柔道の谷本歩実選手、球界を代表するクローザー藤川球児投手など、喘息を乗り越えて活躍する各スポーツのアスリートがゲストとして登場予定です。どうぞお楽しみに!
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