グラクソ・スミスクライン株式会社が運営する喘息情報ウェブサイト「Zensoku.jp」にて、当HP編集長・二宮清純がナビゲーターを務める対談シリーズ「二宮清純のゼンソク人間学」が好評配信中です。幼い頃から喘息に悩まされてきた二宮が、病気を克服して活躍しているスポーツ選手、元選手と対談。喘息をいかに乗り越えるかというテーマで話を進める中で、この病気への理解を深め、患者さんを勇気づけることを目指しています。同シリーズでは現在、元横綱・隆の里の鳴戸親方、東濃厚生病院アレルギー呼吸器科部長の大林浩幸先生との対談後編を公開中です!

 当サイトでは対談の一部を特別にご紹介します。
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 喘息に負けない力士を育てたい

二宮: 喘息はさまざまな要素が絡み合って発症すると言われています。親方の場合は何が原因だとお考えですか?
鳴戸: 青森の実家は冬が寒いので、部屋の窓のすきまに全部ビニールを貼って密閉していました。だから換気ができない。しかもワラ仕事で土ぼこりは舞うし、鶏を飼っていたので、養鶏場の糞とりも手伝っていました。さらに当時は囲炉裏を使っていて、そこから煙も出る。喘息には悪い要素が全部そろってしまっていたんです。
  加えて父親も喘息でした。父も咳き込むと顔が真っ青になるほどひどかった。私が相撲界に入って1年目に44歳で亡くなりました。喘息の原因はよく分かりませんが、家の環境が引き起こした要素と父から受け継いだ体質の両方があるように思います。

二宮: 今のお話だけでは分からないかもしれませんが、先生の見解は?
大林: 環境と遺伝、両方の要素を感じましたね。まず、お父さんが喘息を患っておられ、遺伝的に発症のスイッチを持っていることになります。問題はそのスイッチが入るかどうか。ここで環境が問題になります。
 今のお話を聞いているといくつかポイントがありますね。まず密閉した部屋。今の住環境も密閉した空間が多くなっていますから、換気をこまめにする必要があります。さらに密閉した暖かい場所に畳やじゅうたん、ワラがあればダニやカビなども繁殖する。囲炉裏からは不完全燃焼ガスや煙も出ます。すべてが複合的に絡み合って発症したのではないでしょうか。
 東京に出て相撲部屋に入門すると、症状は改善したのではないですか?

鳴戸: 二子山部屋に入って変わりましたね。大部屋で寝ていても発作が起きない。部屋では朝6時と夕方の4時に掃除をしていましたが、戸や窓を全開にしていました。冬は寒かったので、全開にするのはイヤだったんですけど、親方の命令ですから仕方ない。実は僕の師匠の二子山親方(元横綱・若乃花(初代))は長男が喘息で、その影響があったようです。
大林: 親方はいい部屋に入りましたね。実家とは環境が全く変わったわけですから。まず、こまめに掃除をして同時に換気もした。この2つで喘息を引き起こす要素が、かなり取り除かれていますね。

二宮: 私は花粉症もあって春先は窓を開けられなくてつらい。親方はいかがですか?
鳴戸: 地方場所ではお寺の境内を借りて寝泊りすることがあるのですが、ある宿舎に限って咳込むことがありました。境内の樹木の花粉か香りなのか原因は分からずじまい。仕方なく滞在場所を変更したことがあります。あとは入院した際にお花をいただいて、喜んで部屋に飾っていたら、咳込み始めました。もう、それからみなさんには「花より団子」だと伝えています(笑)。
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 2010年も喘息を乗り越えて活躍する各スポーツのアスリートがゲストとして登場予定です。どうぞお楽しみに!
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