カープの2軍も参加したJABA広島大会では、決勝でカープ2軍が三菱重工広島を4-2で下して優勝したそうだ。

 この試合で目立ったのはドミニカから来た練習生マルティン・ガルシア。3番手で登板し、3回無失点でMVPを獲得した。デイリースポーツ広島版(8月21日付)によると、この左腕投手は「最速152キロの直球にスライダーを駆使して好投」した。

 かのアルフォンソ・ソリアーノ(現ヤンキース)の2000本安打達成が、広島時代の2本のヒットが含まれることで、名球界入りも話題となる今、同じドミニカ出身のガルシアにも、つい期待したくなる。

 少なくとも福井優也とか中田廉とか、いや挙げだしたらキリがないけれども、今シーズン期待されながら結果を残せなかった多くの投手陣よりは、未知の分だけ魅力を感じてしまう。

 大きな期待を背負いながら、今のところ結果が伴っていないのは、堂林翔太も同様である。栗原健太が不振で、当初、中軸で想定していた2人の外国人(ニック・スタビノアとブラッド・エルドレッド)も打てなかったのだから、2割6~7分でも打っていれば、堂林4番もあり得ただろう。現実は2割1分台を行ったりきたりである。

 今年こそ、悲願のAクラス入りで、クライマックスシリーズ出場だ! と願うカープファンは多い。もちろん、気持ちはよくわかる。

 中日や横浜DeNAや東京ヤクルトの現状を見てみれば、カープが3位にくらいなってもバチはあたらないし、むしろ、なって当然ともいえる。もっといえば、阪神を抜いて2位になっても、実力的には何の不思議もないのではないか。

 その一方で現状は、カープもまた、セ・リーグ4弱の中のドングリの背比べに甘んじているようにしか見えない。

 前田健太だけは別格の成長をみせているけれども、たとえば堂林は本当に今のままでいいのか。中崎翔太にしろ中村恭平にしろ、このままで来年以降、ブレイクできるのか? 丸佳浩だけは今年で大ブレイクするかと思ったが、8月になって少し疲れが見える。

 3位になることは、たしかに大切である。しかし、もっと重要なのは、少なくとも来年以降、巨人に勝ってリーグ優勝する可能性が見えることである。

 中日にもDeNAにもヤクルトにも、失礼ながら、その可能性が見えるとは言い難い。ただ、カープも状況は変わらない。仮に3位になったとしても(もちろん先のことはわからないが)、われわれは、もっと危機感を持つべきであるまいか。

(このコーナーは二宮清純と交代で毎週木曜に更新します) 
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