ソチオリンピックも、いよいよ終盤にさしかかってきました。メダリストたちの活躍はもちろん、表彰台を逃して悔しがる姿にも、全力を出し切ったことに喜ぶ姿にも、いろいろと感じるものがありました。皆さんは、どの選手、どのシーンが印象に残ったでしょうか?
さて、弊社ではオリンピック特別シフトをしき、選手たちの活躍の様子を速報であげています。スタッフが順に夜勤当番となるわけですが、私が夜勤だったある日の夜、突然事件が起こりました。
その日、編集長は事務所に泊まり、五輪をチェックしながら夜中まで原稿を書いていました。
「S、少しだけ仮眠とるから、あとはよろしくな」
深夜、編集長はそう言って、事務所の寝室に入っていかれました。数時間後には早朝のテレビ番組に出演することになっていたのです。
しーんと静まりかえる中、事務所では五輪を放映するテレビの音と、私がうつパソコンのキーボードの音だけが鳴り響いていました。
と、その時です。寝ているはずの部屋からバタバタと足音が聞こえてきました。そして、編集長がスタッフルームに入るなり、「寝られない……」と言うのです。
「えっ!? どうしたんですか?」
「上の階の人が飼っている鳥の鳴き声がひどくて、寝られないんだよ」
「えっ!? 鳥ですか?」
「そうなんだよ。確かに鳥なんだよ」
「天井裏にネズミがいたりして……」
「いやいや、マンションにネズミはいないだろう」
「そうですよねぇ。ということは、やっぱり上の方が鳥かごを床に置いているのかもしれませんね」
「オレもそう思うんだよ。まぁ、こんな夜中じゃ管理人さんを呼ぶわけにもいかないし、耳栓して寝るよ」
そう言って、編集長は再び部屋へと戻られて行きました。翌朝、聞いてみると、耳栓でなんとか眠ることができたのだそうです。
しかし、実は未だに事件は解決していません。編集長が管理人さんに問い合わせをしたところ、なんと上の階の部屋は空き室だったのです。いったい、編集長が聞いた鳥の鳴き声とは……。
編集長によれば、あれから一度も鳴き声は聞こえてこないのだとか……。思わず体がブルッとしてしまいますね。果たして、この謎はいつ解けるのでしょうか。オリンピックが終わった後、熱燗で暖まりながら、考えてみようと思っています。
(スタッフS)
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