「カッコいい名前ですよね~。昭和の映画に出てくる俳優さんみたいだ」
 先日、初優勝へ首位を走る東北楽天の3番打者・銀次選手に編集長がインタビューをしました。

 首位打者争いを繰り広げる天才的なバッティングはもちろん、何といってもインパクトがあるのは「銀次」という名前です。本名は「赤見内銀次」。銀幕スターの芸名を彷彿とさせます。
 
「皆さんから、かなりそう言われるんですよ」
 本人も照れ笑いを浮かべていました。

「ちなみに、映画とかはよく観られるんですか」
「はい。『トラック野郎』も観ました。プロ野球選手になっていなかったら、トラック運転手か漁師をやるつもりだったので……」

 トラック野郎――。そのタイトルにピンと反応したのが編集長です。

「あの映画、いいですよね。菅原文太がかっこいい」
「最高ですよね。一番星!」

 何を隠そう編集長は、スポーツジャーナリストでなければ、映画評論家になっていたのではないかと思うほど、新旧の作品をよく観ています。特に任侠ものや、Vシネマ、時代劇は大好きです。

 趣味が高じて3年前には、ラジオのニッポン放送「オールナイトニッポン」で1時間半、「時代劇、最強のヒーロー」について語り尽くしたほど。念願かなって菅原文太さんの番組に出演した際には、いつもは冷静沈着な編集長が感動のあまり、思いのたけをしゃべりまくり、ご本人に「今日はその話じゃないから」と苦笑されたそうです……。

 そんな編集長に、「トラック野郎」の話題を持ち出してしまったら、さぁ大変。どんどんトークテーマは脱線してしまいました(苦笑)。

「あの一番星号の電飾看板、憧れますよね。菅原文太といえば、『仁義なき戦い』は観たことあります?」
「何回かあります。あれも、いいですよね! やっぱヤクザ映画と言ったら、『仁義なき戦い』でしょう」
……

 1988年生まれの銀次選手と、1960年生まれの編集長。その後も親子ほどの年齢差のある2人が菅原文太さんと仁義なき戦いの話題で盛り上がる不思議な光景が繰り広げられました。

「菅原文太も仙台出身。銀次選手がファンだと聞いたら喜びますよ。首位打者獲ったら、3人でぜひ対談企画でもやりましょう」
「本当ですか? ぜひお願いします。頑張ります!」

 それからというもの、僕は銀次選手がヒットを打つたびに、菅原文太さんの顔を思い出してしまいます。首位打者を本当に獲ったら、実は「菅原文太に会いたい」がひそかなモチベーションだったなんて、誰が想像するでしょう(笑)。オフに異色の3ショットが実現したらどうなってしまうのか、勝手に想像しておもしろがっています。

 というわけで、すっかり意気投合した銀次選手と編集長でしたが、あらためてインタビュー音声を聞き返すと、驚愕の事実に気づいてしまいました。話が脱線しまくったおかげで、肝心の野球の話がどこかへ飛んでしまっていたのです(苦笑)。

「どこでわしら、道間違えたんかのう」
 インタビュー中、菅原文太さん扮する仁義なき戦いの広能昌三の名ゼリフをうれしそうに何度も口マネする編集長の声を耳にしながら、僕も思わずボヤいてしまいました。

「どこで編集長、話間違えたんかのう……」

 果たして、どんな原稿ができあがるのやら。後日、『週刊現代』で掲載される特集記事をお楽しみに!

(しかし、あれほど菅原文太さんについて熱く語れる銀次選手、本当に25歳なのでしょうか(笑)……スタッフI)
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