お暑うございます。
 暦の上では立秋を迎えましたが、涼しくなる気配は全く感じられず、日々のニュースからは、「熱中症」「記録的な暑さ」「ゲリラ豪雨」など物騒な言葉ばかりが聞こえてきます。さらには、連日の熱帯夜と世界陸上のお陰で、今週は寝不足気味の方も多いのではないでしょうか。くれぐれもご自愛下さい。

 さて先日、緊急地震速報の誤報問題が発生した日のことです。
 スタッフルームはいつものように、スタッフ全員がパソコンに向かい、カタカタとキーボードをたたく音だけが静かに響いていました。すると突然、全員の携帯やスマートフォンが、高音のけたたましい音で「ウィーウィーウィーウィー」と一斉に鳴り響き始めました。
静かな空気が一変し、スタッフ全員が「大変!地震地震」とテレビをつけたり、ネットを確認したり、地震の情報を集め始め、ザワザワとし始めました。

 すると、書斎で執筆をしていた編集長も大慌てでスタッフルームにやってきました。
「携帯が“ウィーウィーウィーウィー”鳴ったんだけど、なにこれ?」
「緊急地震速報音ですよ!」
「みんなも鳴ったの?」
「全員、“ウィーウィーウィーウィー”鳴りましたよ!」
「オレの携帯、初めて鳴ったから何事かと思ったよ。でもさ、地震が起こってから鳴っても遅いよね?」
「えっ?………」
「地震が起こってからじゃ遅いじゃん!!」
「編集長、これは地震が起こる前のお知らせなんですけど、ご存じなかったんですか?」
「ええ!そうだったの!?それは大変じゃないか!これから揺れがくるかもしれないから、
みんな、念の為防災ヘルメット被れ!!」
「あのぉ編集長、震源地は関西のようですので大丈夫かと……」
「大丈夫かもしれないが、何かあってからでは遅いんだから被っておけよ!」
そう言いながら編集長は書斎にお戻りになりました。

 数分後、今回の緊急地震速報は誤報とのニュースが流れたので、編集長にお伝えしようと書斎に向かいましたが、防災ヘルメットを被った編集長の後ろ姿を見た瞬間、見てはいけないものを見てしまった感覚に見舞われ、そのままそっとドアを閉め、見守ることに決めたのでした。

(スタッフH)

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