トライアスロンのジャパンカップ最終戦を兼ねた日本選手権東京港大会が10月21日、東京・お台場海浜公園周辺で行われ、男子はアテネ五輪代表の田山寛豪(チームテイケイ)が最終種目のランの序盤に抜け出し独走、圧倒的な強さで2年連続4回目の優勝を果たした。
 連覇中の第一人者・庭田清美が欠場した女子は、06年ドーハ・アジア大会銀メダルの上田藍(シャクリー・グリーンタワー・稲毛インター)が最終種目のランで追い上げ、初優勝した。
(写真:ランで力強い走りを見せる田山選手)
 男子は連覇がかかる田山がスイムをトップで上がる積極的なレースを見せる。バイクでは田山、山本良介(トヨタ車体)、平野司(NTT東日本・NTT西日本)、福井英郎(トヨタ車体)、山本淳一(K’S‐Y・グリーンタワー・稲毛インター)ら8選手が先頭集団を形成する。
 バイクをトップと2秒差の5位で通過した田山は、ランに入り早々にトップに立つと独走態勢を築き、後続との差をグングン広げていく。周回を数える毎に2位との差を大幅に広げる力強い走りで、1時間49分17秒のタイムで、トップでフィニッシュした。2位にはシドニー五輪代表のベテラン・福井英郎(トヨタ車体)が食い込み、3位は昨年2位だった杉本宏樹(チームテイケイ)が入った。

 2年連続4度目の優勝を決め、笑顔を見せた田山は「応援を味方につけることができた。勝つことしか考えていなかった。今年は海外のレースで調子が保てなかったが、来年につながる優勝ができてよかった」とコメントした。
 今年は9月初旬にドイツで開催された世界選手権で20位、その2週間後のワールドカップ北京大会(オリンピックプレ大会)では24位。世界選手権ではバイクで一時にトップに立つなど積極的な姿勢を見せ、北京大会でもスイムを3位で上がるなど、世界の強豪を相手にも引けを取らないレースを見せている。世界大会でのトップとのタイム差も縮まっており、確実に力をつけている。
「北京五輪では、『おめでとう』と言われたい」。アテネ五輪では、バイクで一時トップに立つなど、積極果敢なレースで観客を沸かせた田山が、2度目の五輪で狙うのは、表彰台だ。

 2大会連続五輪出場で、日本選手権を連覇している第一人者、庭田清美(アシックス・ザバス)が欠場した女子は、23歳の上田藍が得意のランで驚異的な追い上げを見せ、嬉しい初優勝を果たした。
 上田は最初のスイムを終え16位と出遅れたが、バイクで9位まで浮上。先頭集団からは遅れをとったものの、06年ドーハ・アジア大会3位の関根明子(NTT東日本・NTT西日本)とほぼ当時に最終種目のランへ。驚異の追い上げで先行する8選手を抜き去ると、04年大会優勝、過去2大会は庭田に次ぐ2位に入っている実力者・関根とのマッチレースに。残り3キロあたりでスパートすると、軽快なピッチで走り切り、初優勝のゴールテープを切った。
「ランの3周目でスパートすることを決めていた。優勝するだけの練習はやってきた。狙っていた大会で優勝できたのは嬉しい」
 晴れやかな笑顔でこうコメントした上田。ベテラン勢が強さを見せる国内女子の中で、若手のエースが北京五輪代表に向け大きく前進した。
 
 この日優勝した田山、上田は、08年4月に中国・広州で行われるアジア選手権の出場権を獲得。さらに同大会で優勝すると、北京五輪代表(枠は男女各3名)に決定する。

上位の結果
<男子>
1位 田山寛豪(チームテイケイ) 1時間49分17秒
2位 福井英郎(トヨタ車体)1時間50分41
3位 杉本宏樹(チームテイケイ)1時間51分2秒

<女子>
1位 上田藍(シャクリー・グリーンタワー・稲毛インター) 2時間1分56秒
2位 関根明子(NTT東日本・NTT西日本)2時間2分20秒
3位 井出樹里(トーシン・日東紅茶・TEAM KENS)2時間3分11秒