“チームの勝利のために貢献した素晴らしいプレー”に贈られる「ジョージア魂」賞の年間大賞表彰式が3日、都内ホテルで開催された。この賞は缶コーヒーブランド「ジョージア」がプロ野球12球団と提携、さらにNPBパートナー契約を締結して今季より創設された。シーズン中、12回に渡ってファン投票で選ばれた「ジョージア魂」賞受賞プレーの中から、さらにファンの支持を集めたものが年間大賞に輝いた。栄えある初年度の年間大賞となったのは城島健司捕手(阪神)が3月27日(対横浜)に放ったサヨナラ本塁打。また当HP編集長・二宮清純ら6名の選考委員によって「ジョージア魂」賞選考委員特別賞も決まり、天谷宗一郎外野手(広島)が8月22日(対横浜)にみせたスーパーキャッチが選ばれた。
(写真:選考委員である桑田真澄氏(左)からジョージアの缶コーヒー1年分を贈呈された天谷)
 選考委員特別賞に輝いた天谷のプレーは横浜のブライス・ハーパーが放った右中間への当たりをフェンスによじのぼり、エビ反りになりながらキャッチしたもの。選考委員の山田久志氏からは、「(米国で野球殿堂入りした)山森(雅文)のスーパーキャッチの時に、ちょうど投げていたのが僕。あれに匹敵する素晴らしいプレー」と絶賛された。もっとも本人は「守っていて打った瞬間はホームランだと思っていた。とりあえず(フェンスに)のぼろうと思って、のぼったら意外と(打球が)ギリギリで捕れた」と自身のプレーに驚いたという。
「(受賞で)周りの選手や知人からおめでとうと言われたがピンと来なかった。でも今日、この場に立って、すごい(カメラの)フラッシュを浴びて、スゴイことをしたんだなと思いました」と緊張の面持ちで受賞スピーチを行った。

 今季の天谷は守備で好プレーを連発した一方、打撃では不振が続いた。昨年は規定打席に満たないものの.300に達した打率は.245に終わった。
「技術よりもメンタルの問題。好不調の波を自分で制御できなかった」
 その間、外野のレギュラーには廣瀬純が定着。センターのポジションを争う赤松真人もゴールデングラブ賞を獲得して先を越された。「赤松さん、純さんはリーグを代表する外野手」と認めながらも、このまま引き下がるわけにはいかない。
「今年はチームも自分も苦しんだ。この賞のコンセプトであるチームを助けるプレーをして、来年は記憶だけでなく記録に残るプレーをしたい」
 打率.300と具体的な数字も目標に掲げ、力強く来季への抱負を語っていた。

 一方、年間大賞の城島は左ヒザ半月板の手術を受け、リハビリ中のため欠席。「なんでも1回目というのはファンの記憶に残る。その1回目に獲れたのはうれしい」とVTRでコメントを寄せた。今季は5年ぶりに日本球界に復帰。大賞に輝いたサヨナラ弾は、その開幕2戦目に飛び出した。前日の開幕戦では猛打賞の活躍をみせており、「阪神の一員になれたなと思った2日間だった」と振り返る。来季の開幕に間に合うかどうかは微妙な情勢だが、「ジョージア魂賞が1回でも多くもらえるよう頑張りたい」と早期復帰を誓った。
(写真:VTRでの登場で「たとえ地味でも感動していただけるプレーを」と話す城島)

「ジョージア魂」賞は来季も継続して実施される予定で、日本コカ・コーラ株式会社マーケティング&ニュービジネス、コーヒー・ジュース・チルドカテゴリーの篠原幸治副社長は「ジョージアは働いているサラリーマンが少しでも元気になるようにと思ってつくられている。そんなサラリーマンが家に帰って元気を与えられるのがプロ野球のプレー。これからもジョージアでプロ野球をともに盛り上げていきたい」と挨拶した。選考委員の桑田真澄氏が「来季はもっと目立たないプレーに光を当てたい」と語るように、記録には残らない勝利への貢献を評価するところにこの賞の意義がある。2011年のシーズンも選考委員が頭を悩ませるプレーが、きっとたくさん生まれるはずだ。

 なお、「ジョージア ベースボールパーク」のサイトではオフシーズンも、二宮清純の書き下ろしコラム「野球探偵007」のコーナーを月2回更新中。全12回の受賞プレーや、惜しくも受賞を逃したノミネートプレーの中から二宮があらためて取り上げたいものを題材にコラムを執筆している。
(写真:表彰式後の全選考委員と天谷を交えたトークショーも盛り上がった)