缶コーヒーブランド「ジョージア」は、今シーズンよりプロ野球12球団と提携、さらにNPBパートナー契約を締結し、“チームの勝利のために貢献した素晴らしいプレー”に贈られる「ジョージア魂」賞を創設しています。「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、二宮清純の書き下ろしコラム「野球探偵007」のコーナーをオフシーズンも月2回更新中。過去の受賞プレーはもちろん、惜しくも受賞を逃したノミネートプレーの中から二宮があらためて取り上げたいものを題材にコラムを執筆しています。

(写真:4月10日の中日戦では好救援のみならず、貴重なダメ押し打を放った越智)
 当サイトでは今回、第2回「ジョージア魂」賞に輝いた巨人・越智大祐投手のコラムを特別に紹介します。

 巨人・越智大祐「クローザーへの道」

 越智大祐を初めて見たのは新田高3年の時だ。夏の愛媛県大会準決勝で宇和島東と対戦した。宇和島東のエースは現東京ヤクルトの高木啓充。

 好投手同士の対決だけにロースコアのゲームが予想された。越智は最後まで投げて強打の宇和島東相手に被安打6と力投をみせた。しかし投げ勝ったのは高木。新田は1対3で敗れた。

 いかにも地肩の強そうな投げ方をしていた。ゴツゴツしたフォームだった。理由を聞いて納得した。彼は高校1年までキャッチャーだったのだ。

 本人は高校卒業後、「野球から離れて就職するつもり」だったが、“未完の大器”に目をつけた指導者がいた。早大監督(当時)の野村徹だ。
「長身をいかして角度のあるボールを投げていた。威圧感がありました。まだ下半身が弱くて未完成だっただけで、そこに非凡な素質を感じました」

 早大進学が越智には吉と出る。通算15勝5敗、防御率2.61。2006年、大学・社会人ドラフト4巡目指名で巨人に入団したが、もっと高い評価でもよかったのではないか。

 プロ3年目に頭角を現した。セットアッパーとして68試合に登板し、3勝3敗10ホールド、防御率2.40。チームのリーグ連覇に貢献した。力むとワンバウンドのボールを連発するクセはあるが、高めに浮くよりはいい。
 これは本人が師と仰ぐ小谷正勝2軍投手コーチの教えによる。
「高めに投げているうちは何百万円プレーヤーだ。それを内外角低めに投げられるようになったら1億円プレーヤーだ」

 メジャーリーグのピッチャー、とりわけセットアッパーやクローザーは「キープダウン」――つまり低めを、これでもかと言わんばかりに意識する。高めに浮いたその1球が命取りになることを知っているからだ。越智も同じ考えではないか。

 巨人はマーク・クルーンとの契約を打ち切った。原辰徳監督は越智と山口鉄也のどちらかをクローザーに昇格させようという腹なのだろう。1億円プレーヤーは、もう間近である。

「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、第3回「ジョージア魂」賞を受賞した東京ヤクルト・中澤雅人投手についても二宮清純の書き下ろしコラムを掲載中!

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