当HP編集長の二宮清純がインタビュアーを務めるBS朝日の番組『勝負の瞬間(とき)』が12月19日(日)、21:00より放送されます。この番組では毎回、各競技から一流たちをお招きし、トップを極めた技術と、その思考法に迫ります。これまでのスポーツ番組とは一味違ったインタビュードキュメントです。今回は王座奪取から3連続KO勝利と圧倒的な強さをみせるWBA世界スーパーフェザー級チャンピオン・内山高志選手をお招きします。
(写真:内山選手が「今まで話したことのないボクシングの話をします」と宣言!)
 当サイトでは番組に先駆けて、内山選手とのインタビューの一部を紹介します。

二宮: 内山選手といえば「KOダイナマイト」。我々はいつ倒すか目が離せません。今回はこの前の2度目の防衛戦、ムクリスとの試合でフィニッシュしたラウンドを内山選手に見ていただきたいと思っています。5ラウンドですが、これはもう倒せるスキがあれば倒そうと思っていたと?
内山: そうですね、もうかなりボディを入れていて相手のガードが下に落ちていましたから。フェイントにも引っかかるようになっていたので、当たるかなとは思っていましたね。

二宮: ちょっと身長差がありましたが、やりにくくはなかったですか?
内山: 特にないですね。その分、ボディとかが当てやすい感覚がありました。

二宮: 最後の右は手応えがありましたか?
内山: ありました。僕はこの時まで、相手を見てなかったんです。でも、パッと顔を上げたら相手の目が飛んでたんで、これならまくれると思ってラッシュをかけました。

二宮: よく比喩で「病院送り」なんて言いますけど、今回は本当にムクリスが倒れたまま立ち上がれなくて病院送りになっちゃった。倒した内山選手自身、ちょっとヒヤッとしたのでは?
内山: 心配だったので、試合後に控室へ挨拶に行こうかと思ったんですけど、ちょっと話せる状態ではなかったみたいです。

二宮: 私が驚いたのはあとで「内山選手が試合中に場内のモニターを見て、ブローの位置を確認していた」と聞いたことです。そこまで冷静だったのかと……。
内山: 僕がインターバルで座っている時に、ちょうど正面にでっかいモニターがあったんですよ。それで、自分の右クロスが当たったラウンドがあったんで、「どのくらいの場所で当たっているのかな」と。やっぱり右クロスを入れる時は、自分が体勢を下にしてフェイントを入れているので、どうしても相手が見えない。どのくらいの角度で入っているのかなと思いながら、たまたまパッと上を見たらVTRでスローが流れていた。それで確認したら、「あ、大丈夫だ」と思ったので自信を持って打つことができました。
>>この続きは番組をお楽しみ下さい。

 今やKO率8割を超えるハードパンチャーとして知られる内山選手ですが、決してアマチュア時代から順風満帆だったわけではありません。国体準優勝の実績を持って入学した拓殖大では当初、補欠にも選ばれず、同級生の荷物持ちをさせられたほどです。その後、全日本選手権3連覇を達成するも、目標としていたアテネ五輪の出場権は獲得できず……。一時はボクシングを引退し、普通のサラリーマンとして生活していました。そこから25歳での遅いプロデビューを決意した理由は何だったのか。内山選手が当時の心境を告白します。

「内山選手の拳には、黒真珠が入っている」
 そんな噂が流れるほど、王者の拳は人差し指と中指のナックルが人一倍大きくなっています。これは、その部分で的確に相手をとらえている証拠です。しかし、強打を見舞うさせるには、正確なパンチだけでは足りません。相手に決定的なダメージを負わせるための伏線が必要になってきます。内山選手がフィニッシュブローを炸裂させるまでのプロセスは、まさに理詰めそのもの。番組内では多彩なジャブと相手が嫌がる独特のボディを本人が特別に実演で解説してくれます。
(写真:空気を鋭く切り裂く音が聞こえるパンチは必見)

 残念ながら暫定王者ホルヘ・ソリス(メキシコ)の病気により、来年1月10日に予定されていた3度目の防衛戦は延期が決まりました。現在、日本人世界王者では同じ階級に粟生隆寛選手(WBC)がおり、一部ファンからは王座統一戦を期待する声も出ています。インタビューでは、その可能性についても触れています。30歳を超え、一般的には体力のピークを過ぎると言われる中、内山選手は「年々、スタミナ、体力、パワー、技術は上がっている」と断言します。「去年や2年前のオレと今のオレだったら、完全に今のオレが圧勝」。すべてをボクシングに捧げ、必殺の拳をさらに磨き続ける王者のストイックな姿勢に心動かされる55分間です。

 この『勝負の瞬間』は月1回ペースでお届けしています。今後も球界の若きエースなど、一流のアスリートたちが続々と登場予定です。どうぞお楽しみに!

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