2月1日から春季キャンプがスタートしたプロ野球では、18日からオープン戦がスタートする。今季は斎藤佑樹(北海道日本ハム)、大石達也(埼玉西武)、澤村拓一(巨人)をはじめ、注目のルーキー投手がズラリと顔を揃えている。紅白戦や練習試合で順調な仕上がり具合を見せている彼らが、開幕一軍の切符をかけて行なわれるオープン戦でどんなピッチングを見せてくれるのか。さらには新たなスター選手の出現にも注目したい。
 今季、最大の注目といえば、やはり斎藤だろう。13日には韓国・サムスンとの練習試合で登板し、1回を無安打無失点とパーフェクトピッチングを披露した斎藤。彼の一挙手一投足が連日、テレビや新聞など数多くのメディアをにぎわせている。20日の東京ヤクルトとの練習試合でプロ入り後、初の先発が予定されている斎藤は、「変化球は3月のオープン戦から」と直球勝負を挑むつもりだ。大学時代から課題とされ、自らも試行錯誤してきた直球が、プロのバッター相手にどこまで通じるのか。斎藤自らがその見極めを行なう。

 澤村は15日、紅白戦でプロ初の実戦登板に臨んだ。結果は2回をわずか17球で無安打1三振に抑える好投で、首脳陣に先発ローテ入りを大きくアピールした。マウンド上での冷静さは下馬評通りだった。先頭の坂本勇人をいきなり内野のエラーで出塁させたが、慌てることなく後続を打ち取ると、2イニング目の最後は古城茂幸からフォークで三振を奪った。注目の球速は早くも最速で149キロをマーク。この日登板した主力投手にも負けない球威を披露した。澤村は20日の東北楽天戦に先発が予定されている。楽天は星野仙一新監督が誇る足を使った攻撃がウリ。それだけに聖澤諒、内村賢介といった球界きっての俊足打者をいかに出塁させないか、または出塁させたときの対処法がテーマとなる。

 原辰徳監督は3月6日の北海道日本ハム戦での澤村の先発起用の意向を示しており、早くも同じルーキー斎藤との直接対決がささやかれている。開幕まで残り3週間を切るタイミングでの登板、さらには相手が同じ注目のルーキー右腕となれば、絶対に負けられない試合となる。その大事な試合に弾みをつけるためにも、オープン戦初戦での先発は澤村にとって重要だ。まずはドラフト1位の実力を示し、プロとして幸先いいスタートを切りたい。

 また、ここまでの練習試合で好結果を残しているのがプロ4年目の中田翔(日本ハム)だ。12日の広島戦では2打席連続本塁打、16日の阪神戦では4打数3安打1本塁打と結果を残し、打撃開眼の兆しを見せている。注目すべきは3本のホームランの打球方向だ。3本中、2本がバックスクリーン、右中間とセンターから逆方向への打球だった。これが今季の中田の成長ぶりをうかがわせている。変貌のきっかけとなったのが大阪桐蔭高の先輩、西岡剛(ツインズ)からの指導だ。両脇を締め、身体ごとボールに力をぶつける新フォームが、彼のバッティングを変えた最大の要因となっている。キャンプでは休日にも自主練習を行ない、西岡から伝授されたフォーム固めに取り組んできた中田。その努力が今、実を結んでいる。練習試合では厳しい内角攻めにもファウルでカットし、対応力の高さをみせた。今季こそ、真のブレークとなるのか。オープン戦での中田のバッティングに注目したい。

 さらに昨季、鳴り物入りでプロ入りしながら、左肩痛で1年間棒に振った菊池雄星(西武)も今季は順調にキャンプを過ごしている。渡辺久信監督も「昨年とは雲泥の差」と納得の表情を見せている。キャンプ初日からブルベン入りし、精力的に投げ込みを行なってきた菊池は10日にはフリー打撃に登板し、約1年ぶりに打者を立たせてのピッチングを行なった。20日の紅白戦にも登板する予定で、大石達也との“ドラフト1位対決”が見られそうだ。

 今季の開幕はセ・パともに3月25日、あと約1カ月に迫ってきた。この時期の練習試合やオープン戦では、首脳陣は新戦力の見極めを重視している段階。開幕に近付けば近付くほど、メンバーは主力組へと切り替えられる。それだけに今は開幕一軍を狙う若手にとっては首脳陣にアピールする絶好のチャンスだ。果たして各球団の首脳陣のお眼鏡にかなうのはどの選手か。今季のプロ野球を盛り上げる若手の台頭に期待したい。