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(写真:インサイドで大暴れしたパプ・ムール)

 2日、プロバスケットボールリーグ「ターキッシュ エアラインズ bjリーグ」2015−2016シーズンが開幕した。東京・エスフォルタアリーナ八王子で東京サンレーブスと新潟アルビレックスBBの試合が行われ、新潟が攻守で東京を圧倒し、107-64で大勝。広島・安佐南区スポーツセンターでは新規参入の広島ライトニングと一昨季王者の琉球ゴールデンキングス(沖縄)が対戦、沖縄が127-75で圧勝した。

 パプ・ムール、19得点11リバウンドのダブル・ダブル(八王子)
東京サンレーヴス 64−107 新潟アルビレックスBB
【第1Q】12−24【第2Q】9−21【第3Q】13−27【第4Q】30−35

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(写真:コート上で何度も声を荒げていた中村HC)


「オレの寿命が持つか、アイツらが覚えられるか。この争いだな。胸くそ悪い。こんなんではバスケットが弱くなる。相手からお金をもらっているような感じだよ。お金をもらった分だけ働かなきゃ!」
 43点差をつけるワンサイドゲームにも関わらず、試合後の新潟・中村和雄ヘッドコーチ(HC)は「納得いかない」と声を荒げた。

 昨シーズンはイースタンカンファレンス4位の新潟。カンファレンスセミファイナルで敗れたものの、bjリーグ初年度から毎年プレイオフに進出している強豪である。一方、リーグ参戦3年目の東京は昨シーズンカンファレンス最下位。ともに今シーズンから新たなHCを迎え、bjリーグラストシーズンに臨んだ。

 第1クォーター(Q)から新潟が東京を24-12とダブルスコアで突き放した。今シーズンからキャプテンを務めるSG佐藤公威がスリーポイントシュートを2本成功するなど8得点。Cファイ・パプ・ムール、Gチャールズ・ヒンクルの外国出身の2人がインサイドで活躍し、いずれも7得点4リバウンドを挙げた。佐藤は第2Qに入っても、スリーポイント2本沈める好調ぶり。このQは10得点と前半だけで18得点の荒稼ぎをした。対する東京はフィールドゴールパーセンテージが3割を切るなど、外からも内からもシュートが入らなかった。新潟は45-21とリードをさらに広げて試合を折り返した。

 後半に入っても新潟ペースは変わらない。新潟が高い位置からプレッシャーをかけると、東京はプレーの精度を欠いた。東京の東松弘純アシスタントコーチは「初歩的なミスが多すぎて自滅した」と振り返ったように、第3Qだけでターンオーバーが11個。素早い攻撃で得点を重ね、27点を加えた。72-34と大量リードを奪って第4Qへ。新潟は主力を休ませる余裕を見せた。35-30と点を獲り合う大味な展開となったが、最後まで新潟優勢のまま、試合終了のブザーが鳴った。新潟は107-64と3桁得点を奪っての圧勝し、開幕戦を白星で飾った。

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(写真:プレータイムは決して長くなかったが、存在感を見せた武井)


 試合後、カミナリを落とした中村HCだが、新人のPG武井弘明に対しては「武井様々だよ」と大絶賛だった。武井は持ち前のスピードを生かしたボール運びでチームを牽引した。「冒険だった」と3日前に自らが司令塔役へとコンバートしたばかりのルーキーには、賛辞の言葉が止まらない。「真摯に武井に付き合ってくれれば、いいチームになるかもしれない」「日本のバスケットをもしかしたら変えていける」。中村HCがチームに求める「花火みたいにやりたい」という素早いテンポでの攻撃を体現するために、練習生上がりの23歳のルーキーがカギを握る。

 11年目のbjリーグが幕を開けた。来年の秋に新リーグ「B.LEAGUE」がスタートするため、bjリーグとしては、泣いても笑っても、最後のシーズンだ。bjリーグ創成期から在籍する新潟は、プレイオフ常連ながら優勝はまだない。自身もチャンピオンリングを手にしていない佐藤は「ひとつ花を咲かせたい」と意気込む。「面白いバスケをやらないとダメだね。新潟のブースターがサッカーのサポーターのように跳び上がって盛り上がるようなものをつくりたい」と中村HC。浜松・東浜松フェニックスで2度の王座に輝き、秋田ノーザンハピネッツを初のファイナルへと導いた74歳の闘将の挑戦は続く。

(文・写真/杉浦泰介)