8月18日(木)
◇準々決勝
 土壇場での逆転で49年ぶりの4強
作新学院(栃木)   7 = 023000002
智弁学園(奈良)   6 = 301011000
 先制したのは智弁学園。1回裏、作新学院エースの大谷樹弘(2年)の立ち上がりを攻めた。1死三塁の場面、4番・中道勝士(2年)の打球はピッチャーへの強襲ヒットとなり、智弁学園が1点を先制した。さらに5番・小野山敦(3年)が死球で出塁し、2死一、二塁とすると、6番・横浜直樹(3年)が走者一掃のタイムリー二塁打を放ち、智弁学園はこの回一挙3点を挙げた。

 しかし、初回は智弁学園の先発・小野耀平(2年)の前に2三振を含む3者凡退に終わった作新学院が2回表、その小野をとらえた。無死二、三塁とるすと、6番・山下勇斗(1年)が自身今大会初のタイムリーを放ち、1点を返した。さらに1死二、三塁から8番・大谷の犠牲フライで2点目を挙げ、1点差に迫った。続く3回表にも作新学院打線が猛打をふるった。3番・佐藤竜一郎(3年)、4番・飯野に連打が出ると、5番・内藤が送りバントを決め、1死二、三塁とした。続く6番・山下が走者一掃の2点タイムリーを放ち、作新学院が逆転に成功した。さらに2死一、二塁から9番・高嶋翔馬(2年)にもタイムリーが出て、リードを2点に広げた。

 その裏、智弁学園は5番・小野山の犠牲フライで1点を返すと、5回裏には2死一、三塁から6番・横浜の内野安打で同点に追いついた。投げては4回から小野をリリーフしたエース青山大紀(2年)が4、5、6回を3者凡退に切ってとり、作新学院打線を封じた。6回裏、智弁学園は1死三塁と一打勝ち越しのチャンスをつくる。ここで作新学院は3番手・飯野にスイッチした。飯野は1番・大西をファーストへのファウルフライに打ち取る。続く2番・浦野も平凡なゴロに打ち取るも、これを遊撃手が一塁へ悪送球。三塁ランナーが返り、智弁学園が勝ち越した。

 1点を追う作新学院は9回表、先頭の1番・石井一成(2年)、2番・板崎直人(3年)と連打を浴びせ、無死一、二塁とした。続く3番・佐藤の打球はセンター前にポトリと落ちるテキサスヒットとなる。二塁ランナーが一気にホームへ返り、同点とした。さらに1死二、三塁から5番・内藤がライトへ大飛球を放ち、これが犠牲フライとなって作新学院が1点を勝ち越した。その裏、智弁学園は2番から始まる好打順も飯野の前に3者凡退に終わり、わずか1点に泣いた。土壇場で見事な集中打を見せ、鮮やかな逆転劇を演じた作新学院は全国優勝した1962年以来、49年ぶりのベスト4進出を決めた。

 エース吉永、散発4安打完封勝ち
日大三(西東京)   5 = 030000002
習志野(千葉)     0 = 000000000

 先制したのは日大三。2回表、先頭の5番・高山俊(3年)がヒットを放つと、6番・菅沼賢一(3年)は投ゴロに倒れ、習志野の先発・在原一稀(2年)の好判断で二塁フォースアウトとなって、1死一塁となる。しかし、7番・鈴木貴弘(3年)がヒットで続き、1死一、三塁とすると、8番・吉永健太朗(3年)の打球を三塁手がバックホームするも、菅沼が一瞬早くホームを突き、日大三に先取点が入った。さらに2死二、三塁から1番・清水弘毅(3年)に走者一掃の2点タイムリーが出て、日大三が3点をリードした。

 5回表、日大三はヒットと四球で2死一、二塁と追加点のチャンスをつくる。5番・高山はあわやホームランかという大飛球を放つ。越えれば、走者一掃の2点タイムリーとなったこの打球を習志野の左翼手・福山がグラブの先で掴み取ると、フェンスに倒れ込みながらも離さず、アウトにした。このファインプレーにスタンドからは歓声と拍手が沸き起こった。

 このプレーに応えるかのように、その裏、習志野が機動力を見せ、得点を狙う。1死から1番・宮内和也(3年)が四球で出塁すると、2死後、3番・藤井拓也(3年)は内野安打で出塁、さらに二盗を決め、二、三塁とした。しかし、ここもあと1本が出ない。途中出場の斎藤純一(3年)が内野ゴロに倒れ、得点を奪うことができなかった。一方、日大三も3回以降は毎回のようにランナーを出しながらも習志野の在原に要所を締められ、追加点を奪うことができない。その在原は6回表、この試合初めて三者凡退に切ってとる。

 力投を続ける在原を援護したい習志野は、6回裏、先頭の5番・片桐が自身2本目のヒットを放つと、二盗を決め、無死二塁とした。しかし、ここも後続が続かなかった。6番・福山はセンターフライ、7番・皆川は見逃し三振、8番・在原もショートゴロに倒れ、ランナーを返すことができなかった。

 9回表、日大三は習志野の好守備に阻まれ、簡単に2死を取られる。しかし、1番・清水が四球で出塁すると、2番・金子はライト線を破る二塁打を放ち、2死二、三塁とした。続く3番・畔上翔(3年)がレフト頭上を越える二塁打を放ち、2走者が返った。2回以来、ようやく追加点を奪った日大三はリードを5点に広げた。打線から大きな援護をもらったエース吉永はその裏、3者凡退に切ってとり、完封勝ちを収めた。投打がかみ合い、快勝した日大三は明日の準決勝では全国優勝した2001年以来の決勝進出を目指し、関西(岡山)と対戦する。