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(写真:「打って走れるチームを目指す」と語る小久保監督)

 NPBエンタープライズは9日、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が来月に日本と台湾で初開催する国際大会「プレミア12」に向けて、「侍ジャパン」の最終登録メンバー28名を発表した。先月発表された一次登録選手の中から、今季トリプルスリーを達成した柳田悠岐(福岡ソフトバンク)と山田哲人(東京ヤクルト)をはじめ野手15名、投手は大谷翔平(北海道日本ハム)ら13名が選ばれた。球団別に見ると、ソフトバンク、埼玉西武、日本ハムから最多の4名が選出され、千葉ロッテからは1人も選ばれなかった。小久保裕紀監督は、「世界一を獲りに行く」と力強く誓った。

 

 小久保監督は28名のメンバーを1人1人読み上げ、「今季目立った活躍をした選手と WBCなどを含めた経験豊富なベテラン選手のバランスを重視した」と選考理由を口にした。侍ジャパンの強みには、各球団のエース級が集結した投手力と、柳田と山田ら若手野手が中心となる打撃力の2点を挙げている。

 

 投手13名のうち、先発ピッチャー9名を揃えた。エースには今季セ・リーグで15勝を挙げ、最多勝を獲得した前田健太(広島)を指名した。指揮官は「前田が中心となって、チームを引っ張ってほしい」と期待を寄せる。投手陣のキーマンは、試合を締めくくるクローザーだと明言したが、特定の選手の名前を挙げることはなかった。

 

 野手では、今季トリプルスリーを達成した山田と柳田をはじめ、セ・リーグの首位打者・川端慎吾(ヤクルト)や216安打を放ち日本記録を更新した秋山翔吾(西武)らが選ばれた。これまで小久保監督は就任以来、4番には中田翔(北海道日本ハム)を据えると公言していたが、今季パ・リーグ2冠王(本塁打、打点)の中村剛也(西武)も体調面を考慮しながら起用する可能性を示した。

 

 今回の選出メンバーは、10代が1名、20代前半が9名、20代後半が12名、30代が6名と幅広い年齢層が集められた。最年少は19歳の松井裕樹(東北楽天)で、最年長は唯一、09年WBC優勝を経験している内川聖一(ソフトバンク)の33歳である。小久保監督は「今季ソフトバンクのキャプテンとして優勝に導いた内川に野手メンバーを引っ張ってもらいたい」と、チームリーダーとしての役割を求める。一方で投手陣の精神的主柱になりえた40歳の黒田博樹(広島)は最年長選出が有力視されていたが、自ら辞退の要請があり、メンバーからは外れた。

 

 最後に目標を聞かれると、指揮官は「もちろん世界一。世界一を獲りに行く」と力強く誓った。世界ランキング上位12カ国・地域による世界最高峰の戦い、WBSC世界野球プレミア12が1カ月後に開幕する。小久保ジャパンは、世界に向けて日本の野球の強さを証明しにいく。

 

 最終登録メンバーは以下の通り。

 

<投手>
武田翔太(ソフトバンク)、西勇輝(オリックス)、増井浩俊、大谷翔平(日本ハム)、牧田和久(西武)、則本昂大、松井裕樹(東北楽天)、澤村拓一、菅野智之(巨人)、藤浪晋太郎(阪神)、前田健太(広島)、大野雄大(中日)、山崎康晃(DeNA)

 

<捕手>
炭谷銀仁朗(西武)、嶋基宏(楽天)、中村悠平(ヤクルト)

 

<内野手>
松田宣浩(ソフトバンク)、中田翔、中島卓也(日本ハム)、中村剛也(西武)、坂本勇人(巨人)川端慎吾、山田哲人(ヤクルト)

 

<外野手>
内川聖一、柳田悠岐(ソフトバンク)秋山翔吾(西武)、平田良介(中日)、筒香嘉智(DeNA)

 

(文・写真/安部晴奈)