2日、東京ヤクルトが阪神に延長11回の末、2-1でサヨナラ勝ちを収め、14年ぶり7度目のセ・リーグ優勝を決めた。ヤクルトは、初回に畠山和洋がタイムリーヒットを放ち先制点を奪う。勝ちパターンの継投で逃げ切りを図ったが、1点リードで迎えた8回表に、代打・関本賢太郎に同点タイムリーで追いつかれる。同点のまま延長戦に突入すると、11回裏2死一、三塁で、この試合無安打の雄平が、決勝打を放ち、劇的な幕切れとなった。ヤクルトは日本シリーズ進出をかけ、14日から始まるクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでCSファーストステージ勝者と本拠地・神宮球場で戦う。

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(上)(2015年4月4日掲載)
(下)(2015年4月5日掲載)

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 稀にみるデッドヒートとなった今シーズンのセ・リーグ。接戦を制したのは、投打に安定したヤクルトだった。9月28日に王手をかけてからは雨天中止もあり、2日足踏みをしたが、本拠地神宮球場でのビールかけを実現させた。14年ぶりの歓喜をファンとともに祝った。

 昨シーズンリーグトップのチーム打率を誇った打線が、今年もチームを支えた。序盤からウラディミル・バレンティン、ラスティングス・ミレッジをを故障で欠く非常事態でスタートしたが、大砲不在も日本人選手の繋ぎの打線がカバーした。

 川端慎吾が打率と安打、山田哲人は本塁打と盗塁と出塁率、畠山和洋が打点でリーグトップ。打撃部門のタイトルを総ナメしそうな勢いで打ちまくった。バレンティンの復帰で完成した2番・川端から始まる山田、畠山、バレンティン、雄平まで並ぶ強力なオーダーが、相手ピッチャーに与える脅威は計り知れない。

 分厚い打撃陣加えて、投手陣の活躍も抜きには語れないだろう。チーム防御率こそリーグ4位だが、守護神トニー・バネットらを中心とした救援陣は抜群の安定感を誇った。秋吉亮、オーランド・ロマン、ローガン・オンドルセクという、いずれも防御率2点台で20ホールド以上のセットアッパーの存在により、クローザーのバーネットは40セーブを挙げ、防御率1.31。来日6年目でキャリアハイをマークし、セーブ機会の失敗もわずかに1度だけだった。

 2年連続最下位のチームを建て直した真中満新監督。現役時代の積極的なバッティングスタイル同様、2番に川端を起用し、犠打を多用しない攻撃策をとった。継投でも勝利の方程式を惜しげもなく切った。采配からも見られるアグレッシブな姿勢でチームを引っ張った。93年の入団からヤクルト一筋を貫いてきた新人監督が、14年ぶりの美酒をチームにもたらした。

(文/杉浦泰介)