14日、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第1戦が行われ、巨人が東京ヤクルトに4対1で勝利した。畠山和洋のソロ本塁打で先制された巨人は、5回裏に坂本勇人が2ランホームランを放ち、逆転に成功する。6回裏には代打レスリー・アンダーソンの2点タイムリーで得点を重ねる。3点のリードを守り抜きたい巨人は、中継ぎ陣が無失点でつなぐと、最終回は守護神・澤村拓一がゲームを締めた。レギュラーシーズン首位・ヤクルトには1勝のアドバンテージがあるため、巨人は勝敗を五分にして明日第2戦を迎える。

 

◇ファイナルステージ第1戦

 キャプテン・坂本、意地の一振り!1勝1敗、神宮)

巨人   4=000022000

ヤクルト 1=000100000

勝利投手 山口(1勝0敗)

敗戦投手 石川(0勝1敗)

セーブ  澤村(1セーブ)

本塁打  (巨)坂本1号2ラン

     (ヤ)畠山1号ソロ

 

 巨人・原辰徳監督の決断力が、ヤクルト・真中満監督が掲げる“繋がる打線”を封じた。継投策が功を奏し、最少失点で勝利をモノにした。

 

 ファイナルステージ第1戦、大事なマウンドを任されたのは、今季レギュラーシーズン2勝に終わった内海哲也だった。内海は、序盤からヤクルト打線に押されて毎回走者を背負うものの、失点は4回裏に畠山に食らったソロホームランの1点に留めた。

 

 直後の5回表、これまでヤクルト先発・石川雅規に3本のヒットに抑えられていた巨人打線に火がついた。先頭バッターの立岡宗一郎がレフトへのヒットで出塁すると、井端弘和の打球はファーストへ。一塁ベース際に位置していた畠山の目の前に飛んだため、すぐに塁を踏んで1アウトとなり、併殺プレーかと思われた。だが、二塁への送球に対し、立岡の足が勝った。1死二塁、この試合初めての得点チャンスで打席に立った坂本は、石川が投じた5球目をレフトスタンドへ放り込んだ。ファーストステージから苦しむ3番打者の一発で、形勢は一気に逆転した。

 

 援護を受けた内海は、5回裏2死一塁で今季二冠王の山田哲人を迎え入れたところで、右の田原誠次にバトンを渡す。田原は山田を三振に仕留め、リズムをつくると、6回表に巨人が攻勢を仕掛ける。この回からマウンドに上がったオーランド・ロマンに村田修一が死球を受けると、亀井善行がロマンの動揺につけ入るかのようにライト前ヒットを放つ。ここで加藤健が確実に送りバントを成功させ、1死二、三塁の好機をつくる。代打で起用されたアンダーソンはライトへのタイムリーを放った。2者が還り、巨人が3点のリードを広げる。

 

 このまま勝利の方程式で逃げ切りを図りたい巨人だが、今季チーム打率1位のヤクルト打線は簡単にはそれを許してくれない。4番手でマウンドに上がったスコット・マシソンが、大引啓次にヒットを打たれると、次の中村悠平には四球を与えてピンチをつくった。ここで原監督はマシソンを諦め、山口鉄也をマウンドに送った。采配は見事に的中し、山口は代打の代打・田中浩康、上田剛史を凡打に仕留めると、川端慎吾をショートライナーに打ち取った。この試合一番の危機を脱すると、山口は回跨ぎで8回を三者凡退に抑えた。

 

 最終回を任された守護神・澤村は落ち着いたピッチングで簡単に2つのアウトを取る。代打・今浪隆博に四球を与えたものの、最後は代打・森岡良介を三振に切って取った。今日の試合は、原監督の早め早めの投手交代の決断が見事に的中した。特に山口が回跨ぎで抑えたおかげで、ブルペンで待機していた高木勇人を温存できたのは巨人にとっても大きいはずだ。明日第2戦は、今季最高勝率を誇るマイルズ・マイコラスの先発が濃厚視されている。巨人は、この流れに乗っていきたい。

 

(文/安部晴奈)