若きホームランキングが誕生しそうだ。高知ファイティングドッグスの迫留駿。現在、12本塁打を放ち、リーグトップに立つ。打率は2割そこそこで三振も多いが、ツボにはまった時の長打力は群を抜いている。「このリーグでは珍しい左の長距離砲になる可能性を秘めている」と定岡智秋監督も期待を寄せる逸材だ。高校を中退し、働きながら野球を続け、四国にやってきた苦労人にブレイクの理由を訊いた。
――1年目のシーズン、ここまでを振り返ってどうですか。
迫留: 1年間でこんなにも試合を経験することができ、短い期間ですが、すごく自分が成長していると感じています。定岡監督や辻(武史)コーチにもたくさん教えていただいて、とても勉強になっています。

――やはりホームランにはこだわりがある?
迫留: あります。それが僕のセールスポイントなので。

――ホームランもトップですが、その反面、三振数もリーグで一番多い……。
迫留: 最初は三振かホームランか、という気持ちで打席に立っていましたが、監督、コーチから「このままではダメだ」と言われています。だから、甘い球を1球で仕留めたり、頭を使って狙い球を絞ったりといったことを少しずつですけど勉強しているところです。まぁ、人より多く三振した分、いい経験を積めたと思うようにしています。

――確かにバットは振らなきゃ当たらないし、ホームランも出ませんからね。
迫留: シーズンに入る前には定岡監督から、「空振り三振なら100個してもいい。その代わりホームラン15本打て」と言われました。それに近い数字にはなっていますね。でも、開幕から何本か打った時点で15本の目標は20本に修正されたんですけど(笑)。

――このリーグに来て、一番、勉強になったことは?
迫留: これまで何も考えずに自分の思う通りに野球をやってきました。でも、それでは高いレベルでは通用しないことを思い知らされましたね。バッティングはもちろん、守備、走塁すべてにおいて、もっと突き詰めて研究しないといけないと感じています。

――当然、NPB行きは目標でしょうが、この先、どんなバッターになりたいですか。
迫留: インパクトの強い選手になりたいですね。具体的にはおかわり君(埼玉西武・中村剛也)、T−岡田さんといったところです。今から巨人の坂本勇人さんみたいになれと言われても無理ですから。最終的には逆に「迫留みたいになりたい」と言われる選手になりたいです。

――同級生のバッターでは浅村栄斗(埼玉西武)、大田泰示(巨人)がプロで活躍しています。彼らとともに名前があがる存在になるといいですね。
迫留: それが一番ですね。まだまだバッティングも課題まみれですけど、精度を高めて、確実に打てるゾーンを広げていきたいです。