リーグ初の防御率0点台投手が誕生するかもしれない。徳島インディゴソックスの岩根成海。現在33試合に登板して、防御率0.73。小さなモーションから140キロを超える速球を投げ込み、打者を牛耳る。今や前後期制覇を目指す徳島にとって、なくてはならないセットアッパーだ。昨季は結果を残せず、一度、戦力外通告も受けた右腕が一変した要因はどこにあるのか。本人を直撃した。
――昨季は腰を痛めたこともあって、15試合に登板し、1勝2敗、防御率3.90。オフには戦力外通告を受けました。今年、好調の要因は?
岩根: 今季は2年目でリーグの打者の特徴が分かったのが大きいと思っています。あとは冬場の走りこみでフォームが固まった。高校時代(出雲西)は後ろのヒザに土がつくくらい粘って投げられていたのに、それがいつの間にかにできなくなっていたんです。今はヒザに土がつくかたちで投げられています。

――対戦相手の監督、コーチ、選手からは「ストレートのキレが良くなった」という声があがっています。
岩根: 最初は不安で探り探り投げていたのですが、実際にシーズンが始まると抑えて結果も出てきた。自信を持ってマウンドに上がれています。

――自分のセールスポイントは、やはりストレート?
岩根: はい。タイミングがとりづらいとバッターからは結構言われますね。テイクバックをコンパクトにして投げることは意識しています。これまでは課題がコントロールだったんですけど、昨年、加藤(博人)コーチ(現東京ヤクルト2軍投手コーチ)に脇を空けずにセットポジションに入るようアドバイスされてから、だいぶ安定するようになってきました。

――今季から指導する島田直也コーチからは、どんな指導を?
岩根: 一番はメンタル面ですね。中継ぎは初めてなので、どこで勝負すべきか状況判断を教えてもらっています。だから、今は完璧に抑えるよりも、任されたイニングを0点で帰ってくることを目標にしています。

――つまりランナーを出しても点をとられなければいい。その判断が大事だというわけですね。このリーグではNPBとの対戦も多く組まれています。アイランドリーグのバッターとの違いは?
岩根: NPBのバッターはボールの見極めがいいですね。なかなか振ってくれない。そし甘いところに投げたら確実に打ってくる。でも、そういうバッターを抑えたら自信になりますし、特に相手チームの4番と対戦するのは楽しいです。

――NPB入りへの意識は高まってきましたか?
岩根: このリーグに来た時から「NPBに行きたい」とは思っていましたけど、今はだいぶ距離が縮まったように感じています。去年、一緒にやっていた弦本(悠希、現広島)が入ったのも刺激になりましたね。弦本からは「早く(NPBに)来てくださいよ」と言われます(笑)。グラブも彼にもらったものを使っているんです。

――理想とするピッチャー像は?
岩根: 具体的にはありませんが、チームから信頼されるピッチャーになりたいです。