8日、7人制ラグビーのリオデジャネイロ五輪アジア予選香港大会最終日が行われ、男子決勝は日本代表が香港代表を24-10で下した。日本はリオ五輪の出場権を獲得。前半は香港に0-10とリード奪われた日本だったが、後半3分に後藤輝也(NECグリーンロケッツ)のトライで詰め寄ると、5分にレメキ・ロマノ・ラヴァ(ホンダ)トライで同点に追いつき、坂井克行(豊田自動織機)のキックで逆転に成功した。その後も2トライを奪って、突き放した。7人制ラグビーはリオ五輪から初めて実施される競技。香港らアジア予選2~4位のチームは最終予選に進出する。

 

 予選プールAを4連勝。全試合を完封の日本は準決勝のスリランカ代表戦でも、相手を圧倒した。43-0で決勝へとコマを進めてきた。決勝の相手は地元・香港。プールBを日本同様に4連勝し、準決勝で韓国代表を破り、勝ち上がってきた。昨年のアジア競技大会(韓国・仁川)でも金メダルを争った両チーム。今度はリオ五輪への切符を懸けて戦った。

 

 前半を押し気味に進めたのは、ホームの大声援に背中を押され勢いに乗る香港だった。2分、9分にゴール右隅にトライを奪って、リードして前半を終えた。一方の日本はほぼ守勢に回る結果となった。予選プールから続いていた完封は5でストップしたものの、獲られたトライはいずれも大外だった。そのせいもあってか、相手のコンバージョンは外れていたことが日本には吉と出た。

 

 後半に入ってペースを握ったのは、10点差を追いかける日本だ。2分、右サイドから左に展開していき、中央で一度ボールを奪われかけたが、キャプテンの桑水流裕策(コカ・コーラ)がタックルを突き刺し、ボールを奪い返す。再び左に展開すると、左サイドの後藤が1対1の状況に。後藤は巧みなステップワークで相手を翻弄し、強引に縦へ突破した。トライを獲り、5点差へと迫った。

 

 なおも日本の攻勢は続く。インゴール目前で香港の反則。5分、合谷和弘( 流通経済大)の素早いリスタートから、トゥキ・ロテ・ダウラアコ(北海道バーバリアンズ)と繋いで、レメキが中央でボールを持った。レメキは右に流れながら、相手のスキを見逃さなかった。真ん中にぽっかり空いたスペースに飛び込んで同点トライ。さらにゴール真正面で得たコンバージョンを坂井が決め、逆転に成功した。

 

 攻め手を緩めない日本は、7分に合谷がトライ、8分には坂井がトライとコンバージョンキックで差を広げる。24-10と2トライ2ゴール差へと広げた。残り時間は約30秒――。スピードと突破に長けた松井千士(同志社大)、藤田慶和(早稲田大)の大学生コンビを投入し、試合を締めくくりにかかる。最後は香港に自陣までボールを運ばせなかった。

 

 試合時間10分が過ぎ、ボールを奪ったレメキが外へ蹴り出す。ノーサイドの笛が鳴り、日本のリオ五輪行きが決まった。団体球技としては男子初の五輪切符獲得。来年の夏にはフィジー、南アフリカ、ニュージーランド、イングランドといった強豪国・地域に挑む。「アジアの代表として、しっかりメダルを狙いたい」。瀬川智広ヘッドコーチは意気込んだ。イングランド大会で過去最高の3勝を挙げ、上昇気流にある日本ラグビー界。4年後に控える自国開催のW杯に向けて、次はセブンズで弾みをつけたい。

 

(文/杉浦泰介)