11日、WBSC世界野球プレミア12の第1ラウンドが台湾・天母で行われ、Bグループの日本代表(世界ランキング1位)はメキシコ代表(同12位)に6-5で勝利した。1点を追う2回裏に中田翔(北海道日本ハム)の2ランで逆転に成功すると、3回裏には筒香嘉智(横浜DeNA)の適時打などで2点を加えた。リードを守り抜きたい日本だったが、中継ぎ陣が反撃を許し、7回表に1点差に詰め寄られる。9回表、澤村拓一(巨人)がティム・トーレスに同点適時打を浴びて追いつかれるものの、直後の攻撃で中田がタイムリーを放ち、サヨナラ勝ちを収めた。開幕2連勝の日本は12日にドミニカ共和国(世界ランキング6位)と対戦する。

 

中田、3安打5打点の大活躍(天母棒球場)

メキシコ代表   5 = 010101101

日本代表     6 = 022010001×

 

(メ) E・ガルシア-G・サンチェス-D・ロドリゲス-●A・カルデラ

(日) 前田-西-大野-牧田-増井-○澤村

 

本塁打 (メ)R・ロペス1号ソロ

    (日)中田1号2ラン

 

 難敵メキシコに苦戦した侍ジャパンを救ったのは、26歳のスラッガーだった。中田が5打点の大暴れで、チームを開幕2連勝に導いた。

 

 先発マウンドに上がったのは、小久保裕紀監督から「中心となってチームを引っ張ってほしい」と、エースに指名された前田健太(広島)だ。今季、自身2度目の沢村賞を獲得した右腕は、初回を三者凡退に抑える順調な立ち上がりをみせた。だが2回表、ロバート・ロペスに一発を浴びて先制を許す。さらにヒットと盗塁で無死二塁のピンチとなるが、ここは後続を抑えて追加点を食い止めた。

 

 初回を3人で終えた日本は、エースをすぐに援護する。1死一塁から中田がレフトスタンドへ放り込んだ。逆転に成功すると、3回裏にも得点を加え、突き放した。先頭の秋山翔吾(埼玉西武)と坂本勇人(巨人)が連続安打で出塁すると、1死一、二塁で4番の中村剛也(西武)は歩かされる。中村への敬遠を目の前で見ていた筒香は、4球目のシュートをレフトへ運んだ。筒香の意地の一振りで1点を追加すると、なおも1死満塁のチャンスで中田は着実に犠牲フライを放ち、リードを3点に広げた。

 

 援護をもらった前田は、4回表に2死一塁からウンベルト・ソサに適時打を打たれたが、それ以上の得点は許さなかった。この回でマウンドを降り、5回5安打2失点の粘投だった。

 

 5回裏に中田の適時打でリードを3点に広げ、迎えた6回表。日本の小久保監督は継投策で逃げ切りを図る。2番手として今季パ・リーグ防御率2位の西勇輝(オリックス)をマウンドに送った。すると、西はいきなり先頭のR・ロペスにツーベースヒットを打たれると、続くヤジール・ドレイクに適時打を浴びて失点する。7回表には大野雄大(中日)が打者3人に対して1つのアウトも取れずに無死満塁のピンチを招くと、併殺打の間に1点を返される。2死三塁で4番のロペスを迎えたところで、大野に代えて牧田和久(西武)を投入する。牧田は、前田から先制弾を打ったロペスを空振り三振に仕留めて、ベンチの期待に応えた。

 

 9回表、小久保監督は韓国戦で最終回を投げた松井裕樹(東北楽天)ではなく、今季36セーブを記録した澤村にマウンドを託した。澤村はブランドン・マシアスにセカンド後方に打球を飛ばされると、続くアルフレド・ロペスに送られる。次打者をキャッチャーゴロに打ち取って、あと1アウトまで迫った。しかし2死三塁で代打のトーレスにカウント2-2から同点タイムリーを浴びて、リードを守り切ることができなかった。

 

 9回裏、先頭の山田哲人(東京ヤクルト)がライトフェンス直撃のツーベースヒットでチャンスをつくる。続く中村は空振り三振に倒れた。猛打賞と当たっている筒香は敬遠で歩かされる。1死一、二塁、一打サヨナラの場面で、ここまで2安打4打点の6番打者に打席が回る。中田は6球目を右中間へ弾き返す。山田は三塁を蹴って、ホームイン。中田の値千金の一打で接戦を制した。

 

 今日の勝因は中田の活躍に尽きるだろう。中田はランナーを置いて回ってきた全5打席で3打数3安打1四球5打点。確実にチャンスをモノにした。一方で投手陣が、被安打13で5失点とメジャーリーガー不在のメキシコ打線に打ち込まれたのが、気がかりなところである。明日は2013年のWBCを制したドミニカ相手に快勝を期待したい。