サクラセブンズ、リオ五輪出場権獲得!

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(写真:8日の男子に続き、女子も予選突破)

 女子7人制ラグビーのリオデジャネイロ五輪アジア予選東京大会最終日が29日、秩父宮ラグビー場で行われた。決勝はプール2位の日本代表が同1位のカザフスタン代表を14-7で下した。日本は香港大会と合わせて12ポイントでトップとなり、来年のリオデジャネイロ五輪の出場権を獲得。2位のカザフスタン、3位の中国、4位の香港は世界最終予選に出場し、計16カ国・地域で1枠を争う。

 

 冬の東京に、逞しい桜が咲いた。2016年リオ大会から初めて実施される7人制ラグビー。その出場権を女子日本代表が、見事に勝ち取った。

 

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(写真:決勝に望むスターティングメンバー)

 予選プールを4連勝で決勝進出を決めた日本。第5戦は同じく4連勝のカザフスタンと対戦した。トータルポイントで暫定トップにいる日本は、同2位のカザフスタンには香港大会で2勝(7ー5、22-0)している。ここで引き分け以上ならば、決勝で敗れてトータルポイントで並んだとしても、当該相手の結果によりリオ行きが決まる。

 

 しかし前半はFW桑井亜乃のトライで5-0でリードしながら、後半に1トライ1ゴールを許してしまう。結局、カザフスタンに5-7で逆転負けを喫した。これで香港大会を合わせた対戦成績は2勝1敗。プール2位で決勝に進むことになった。

 

 陽も沈みはじめ、迎えたファイナル。日本は22点差以内であれば、負けても五輪出場権を手にすることができる。依然、優位なことには変わりはないが、油断はできない。

 

 前半3分、日本は中央やや左の位置からペナルティを得ると、クイックリスタートでBK中村知春が右斜めにゲインする。中村はトライゲッターのBK山口真理恵にボールを回した。50メートル6秒6の快速ウイングは、カザフスタンのディフェンスラインをぶち破る。大きく陣地を稼ぎ、ラックとなったところを桑井が外に展開した。

 

 キャッチしたのは、山口を追いかけながら大外をカバーしていた中村だ。インゴール右にボールを運びトライを獲った。右サイドからのコンバージョンもBK大黒田裕芽が落ち着いて決める。価値ある先制点が日本を奪った。

 

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(写真:1人がロータックルを突き刺し、もう1人がボールを奪うダブルタックル)

 その後は大黒田、中村、山口、小出深冬のバックス陣がアタックし、再三ラインブレイクする。守っては低いタックルを突き刺し、相手に思うような攻撃をさせなかった。追加点は奪えなかったものの、主導権を握っていたのは日本だった。

 

 しかし、終了間際、自陣のラインアウトから回そうとしたボールを相手に蹴られて、インゴール右へと転がっていく間に10分経過のホーンが鳴った。このピンチに中村は相手より先に楕円球に追いつき、蹴り出してクリアー。失点はなんとか免れてハーフタイムに入った。

 

 後半開始早々にトライを許す。キックオフから日本の左サイドを大きく破られると、自陣深くまで攻め込まれた。左から中央へと展開されると、1対1の場面を作られた。コンバージョンも決められ、7-7に追いつかれた。

 

 このままのスコアでもリオ五輪出場できるが、アジアは通過点。そして地元開催の中で勝って終わりたいと誰しもが思っていたはずだ。7分、約40メートルの位置でペナルティを得た。大黒田は迷わずクイックリスタート。左斜めへゲインし、一気に外の小出に飛ばしパスを送った。

 

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(写真:巧みなステップで奪った小出の決勝トライ)

 ボールを掴んだ小出は、今大会6トライを挙げるなど好調だ。12人のメンバーの中で最年少19歳は、縦にゲイン。1人のマークを振り切ると、一瞬止まるようなステップで正対するディフェンスを翻弄する。一瞬のエアポケット。「トライを獲れば日本に流れがくると思ってトライラインに向かって走りました」と、小出は中央にぽっかり空いたスペースを突く。完全に抜け出すとゴールポストの間、無人のインゴールに飛び込んだ。

 

 12-7と勝ち越すと、コンバージョンを大黒田が決めて2点を追加。最後まで攻め続けて時間を費やす。敵陣で相手が反則を犯し、ペナルティを得た。その間にホーンが鳴り、あと1プレーで勝負が決まる。キャプテンの中村が外に蹴り出して、ノーサイド。14-7で10年のアジア女王のカザフスタンを破った。

 

 6年前に五輪正式種目に決まった7人制ラグビー。12年から指揮を執る日本の浅見純子ヘッドコーチは「身体が大きくなった」と選手たちの成長を口にする。「食事もウェイトトレーニングもやって、最初はとにかく走らせた。アスリートらしい身体になった。強い身体が強い心を作ると実感した」。ハードワークを課して戦士たちに鍛え上げた。

 

 歓喜の中、キャプテンの中村は「まだまだここがスタートライン」と浮かれる様子はない。彼女たちの目線はあくまでリオ五輪での金メダル。6年前だったら笑われていたかもしれない。今だって、現実的な目標とも言い切れない。だが、彼女たちは本気である。まずは来月3日のワールドシリーズに参戦し、世界の強豪との腕試しの機会を得る。満開の桜は、夏のリオで咲かせる。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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