日本リーグへ弾みをつける好成績だ。
 11月8日まで東京・有明コロシアムをメイン会場に開かれた全日本テニス選手権で、伊予銀行勢が躍動した。男子ダブルスでは佐野紘一と小ノ澤新(イカイ)のペアが決勝に進出。優勝こそならなかったが、準優勝に輝いた。また伊予銀行初のプロ契約選手となった片山翔が男子シングルス、ダブルスともにベスト4。女子のプロ契約選手・波形純理もダブルスで準決勝まで勝ち進んだ。

 



「特に佐野はアマチュア選手で決勝まで行くのは大変なこと。決勝で負けたとはいえ、いいテニスができたのではないでしょうか」
 伊予銀行の秀島達哉監督は選手たちの頑張りを評価する。

 9月末に開催された「紀の国わかやま国体」では成年男子で愛媛県代表となった佐野と飯野翔太が5位入賞を果たした。昨年の4位を上回ることはできなかったが、1回戦の三重県は前年3位、2回戦の福岡県も前年7位と実力のある相手を下して8強に入った。

「準々決勝でプロ選手もいた岡山県に抑え込まれてしまいましたが、十分、勝機はありました。5~8位決定予備戦では昨年、準優勝だった大阪府を破っての5位。価値ある国体だったと思います」
 秀島監督は「実力は上がってきている」と選手たちの確かなレベルアップを感じている。

 12月3日からは今季の集大成ともいえる日本リーグがスタートする。前年度、アマチュア選手のみで3位の快挙を達成した伊予銀行は、まず予選ブロック突破を狙う。
「他チームも強化に力を入れており、どこも楽な相手ではありません。一戦一戦、必死に丁寧に戦うことが重要です」
 指揮官は気を引き締める。

 伊予銀行もプロの片山が加入し、戦力は向上している。秀島監督は「オーダーはいろんなパターンが考えられるようになって、うれしい悩みを抱えています」と明かす。軸になるのは片山と佐野だ。「2人とも全日本で結果を出して、いい状態」と指揮官が語るように調整具合は上々だ。

「飯野も夏場に充実した練習を積み、内容は良くなっています。キャプテンの植木(竜太郎)もチームをよくまとめています。昨年のダブルスで勝負強さを発揮した廣瀬(一義)と中島(啓)もチームを引っ張ってくれると上位が目指せる集団になるでしょう」
 慶應大でインカレシングルス優勝の実績を誇る近藤大基も加入し、選手層はさらに厚みを増した。

「誰が試合に出ても、いい段階に達していますから、どう選手たちの力を発揮させるか。マネジメントが問われる戦いになると感じています。直前まで調子を見極め、相手のオーダーも予想しながら、初戦に臨みたいと考えています」

 秀島監督が重視する初戦は12月3日。ブルボンビーンズドーム(兵庫県)での明治安田生命との対戦だ。続く4日は鹿児島銀行、5日は東京海上日動、6日はJR北海道と連戦が組まれている。来年1月の横浜国際プールでの3試合を含めた計7試合の結果で、上位4チームが2月の決勝トーナメント(東京体育館)に進む。

「会社の大きなサポートを得て、我々は活動できています。行員の皆さんに喜んでいただき、恩返しできるプレーをみせたいですね」
 伊予銀行テニス部は一致団結して、昨年以上の高みを目指す。

 


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