第190回 大晦日『RIZIN』がもたらす“熱”に期待

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(写真:今年はイノキ・ボンバイエから戦いの場を移す石井)

 今年の大晦日は、プロボクシングのみならず格闘技も大いに盛り上がる。なにしろ2つのビックイベントと1つのスーパーファイトが繰り広げるのだから。

 

 まず29日と併せて、さいたまスーパーアリーナで、開かれる『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND PRIX』(ライジン・ファイティング・ワールドグランプリ)、IGFワールドグランプリ決勝を軸に両国国技館で行われる『INOKI BOM-BA-YE(イノキ・ボンバイエ)2015』、そしてTBSの番組内で“一夜限りの復活”を果たす魔裟斗と山本“KID”徳郁のキックボクシングファイトも決定している。

 

 この中で私が最も注目しているのは、やはり『RIZIN』。この大会には、来年以降、総合格闘技界が再び盛り上がるか否かがかかっているのだ。

 

 すでに続々とビッグな対戦カードが決まっている。

 

 桜庭和志vs.青木真也、高阪剛vs.ジェームズ・トンプソン(いずれも29日)、クロン・グレイシーvs.山本アーセン、曙vs.ボブ・サップ、ヘビー級トーナメントに出場する石井慧は1回戦でチェコ共和国のジーリー・プロハースカと対峙することとなった。相手は未だ決まっていないがエメリヤーエンコ・ヒョードルも出陣、注目が集まる。

 

 この『RIZIN』の特色の一つは、新旧が入り混じることだろう。

 

 地上波でテレビ放映され高視聴率を目指す以上、知名度の高い選手のエントリーは不可欠だ。そのために組まれたカードが曙vs.ボブ・サップ。いまから12年前の03年大晦日、ナゴヤドームでの『Dynamite!!』で両雄は闘い、それを放映したTBSは瞬間視聴率43%をマークし、初めて民放の番組が数字でNHKの『紅白歌合戦』を上回った。もちろん、このカードに12年前ほどのバリューはないが、それでも、お茶の間の視聴者に興味を抱かせることは可能だろう。短時間決着必至の巨体肉弾戦は、大衆が興味を抱きやすいマッチメイクなのである。

 

 だが、『RIZIN』サイドは、今回の大会で単にテレビ視聴率を上げればそれで良い、とは当然、考えていない。目を引くカードを組むことで一般大衆の注目を集め、その上で総合格闘技を観る楽しさを改めて知ってもらいたいというのが真の狙いだ。ならば重要になるのは、ヘビー級トーナメントであり、また、クロン・グレイシーvs.山本アーセンの試合内容の濃さ、ということになる。

 

 フジテレビで放映されることで世間から大いなる注目を集めることになる『RAIZIN』は、来年以降の定期興行を予定している。

 

 勿論、大晦日の視聴率は、その後もテレビ放映が続けられるかどうかが決まるという点では重要なのだろうが、そのこと以上にイベント自体に熱がもたらされるかどうかが気にかかる。

 

 思えば1997年10月11日、東京ドームでスタートしたPRIDEシリーズ。開始当初は地上波のリアルタイムでのテレビ中継もなく苦闘した。しかし、会場に熱はあった。それが時間をかけて熟成され「総合格闘技全盛期」を迎えるに至ったのだ。

 

 今年の大晦日、私はテレビの視聴率以上にアリーナに熱がもたらされ、総合格闘技再興の予感を抱けることを期待している。

 

『RIZIN FIGHTING WORLDGRAND PRIX』

(12月29、31日・さいたまスーパーアリーナ)

決定対戦カード<12月3日時点>

 

<12月29日>

▼第1試合スペシャルワンマッチ

高阪剛(日本)vs.ジェームズ・トンプソン(英国)

▼スペシャルワンマッチ

桜庭和志(日本)vs.青木真也(日本)

元谷友貴(日本)vs.チョ・ナムジン(韓国)

A.J.マシューズ(米国)vs.アナトリー・トコフ(ロシア)

 

▼WORLD GPトーナメント1回戦

ゴラン・レリッジ(クロアチア)vs.ワジム・ネムコフ(ロシア)

石井慧(日本)vs.ジーリー・プロハースカ(チェコ)

テオドラス・オークストリス(リトアニア)vs.ブハーノ・カッペローザ(ブラジル)

キング・モー(米国)vs.BAMMA選抜選手

 

▼WORLD GPトーナメント・リザーブファイト

ワレンティン・モルダフスキー(ロシア)vs.内田雄大(日本)

 

<12月31日>

▼スペシャルワンマッチ

エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)vs.対戦相手未定

把瑠都=ホールヴェルソン・ヤイド(エストニア)vs.対戦相手未定

▼女子スペシャルマッチ

ギャビ・ガルシア(ブラジル)vs.レイディー・タパ(米国)

RENA(日本)vs.イリーナ・ヴァレンティーノ(イタリア)

▼WORLD GPトーナメント 準決勝

1回戦の勝者vs. 1回戦の勝者(2試合)

▼同決勝

準決勝の勝者vs. 準決勝の勝者

 

<29日or31日>

▼スペシャルワンマッチ

曙(日本)vs.ボブ・サップ(米国)

クロン・グレイシー(ブラジル)vs.山本アーセン(日本)

長島☆自演乙☆雄一郎(日本)vs.アンディ・サワー(オランダ)

DJ.taiki(日本)vs.高谷裕之(日本)

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『忘れ難きボクシング名勝負100 昭和編』(日刊スポーツグラフ)。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)

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