第189回 大晦日、フジテレビで放映される『RIZIN』クロン・グレイシーの対戦相手は誰に?
総合格闘技人気は復活するのか?
いま多大な注目を集めている大晦日の総合格闘技イベント『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND PRIX』(ライジン・ファイティング・ワールド・グランプリ=12月29、31日・さいたまスーパーアリーナ)の対戦カードの一部が11月4日に新たに発表された。
この日、東京・港区で開かれた記者会見で明らかにされたのは次の4カード。
元谷友貴(CB IMPACT=167センチ、57キロ)VS.チョ・ナムジン(韓国=167センチ、57キロ)
DJ.taiki(フリー=172センチ、61キロ)VS.高谷裕之(高谷軍団=167センチ、65キロ)
長島☆自演乙☆雄一郎(魁塾=175センチ、70キロ)VS.アンディ・サワー(オランダ=178センチ、70キロ)
そして、もう1つは女子の闘い。
RENA(シーザージム=160センチ、50キロ)VS.イリアーナ・ヴァレンティーノ(イタリア=160センチ、52キロ)
どうなる? 総合ルールでの長島vs.アンディ・サワー
4試合すべて総合格闘技ルールで行われる。いずれもヘビー級ファイトではなく、ディープなファン向けのカードとなったが、中でも興味深いのは、長島VS.アンディ・サワーか。ともにK-1のリングに上がっていたキックボクサーだが二人は今回、総合格闘技ルールで闘うことになる。
キックボクシングルールでの対戦ならば、シュートボクシングの『S-cup世界トーナメント』で4度優勝、『K-1 WORLD MAX世界トーナメント』も2度制しているサワーが実績的に見ても優位と予想できる。しかし、総合格闘技ルールとなれば、まったく展開が読めない。もちろん、サワーにとっては、これが総合格闘技ファースト・ファイトとなる。
「僕とアンディでしか見せられないような謎めいた試合がしたいです」
記者会見で長島は、そう話していたが、我々が想像できない闘いとなる可能性が高い。
総合格闘技再興へ、スーパー・サプライズを!
さて、これまでに発表されていたのは僅か1カード。桜庭和志VS.青木真也(契約体重は調整中)で参加決定選手が、エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)、ブルーノ・カッペローザ(ブラジル)、高阪剛(チームアライアンス)、ギャビ・ガルシア(ブラジル=女子)、そして大相撲元大関の把瑠都(ホーヴェルソン・カイド=エストニア)となっている。
今後、続々と出場選手、また対戦カートが明らかになっていくだろうが、水面下で出場内定しているのがヒクソン・グレイシーの次男クロン・グレイシーだ。
一昨年6月の『Metamoris2』では、グラップリング・ルールでの下、青木にギロチンチョークで一本勝ち。その4カ月には『ADCC』(アブダビ・コンバット・チャンピオンシップ)77キロ未満を制覇し、14年12月には有明コロシアムの『REAL1』で韓国戦士を破り総合格闘技デビューを果たした超新星。当初は桜庭との対戦も候補に挙がっていたが、それは無くなったようだ。できることならクロンにとってデンジャラスな相手を選んでもらいたい。グレイシー一族が登場し、そこでの闘いに緊張感が漂えばイベントのグレードが一気に高まるように思うからだ。
この『RIZIN』は、大晦日にフジテレビで放映される。大晦日の総合格闘技・地上波テレビは実に2010年の『Dynamitte!!』(TBS)以来5年ぶりのこと。フジテレビにおいては10年ぶりとなる。総合格闘技の再興は、『RIZIN』の成否にかかっている。今後のスーパー・サプライズを待ちたい。
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近藤隆夫(こんどう・たかお)
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『忘れ難きボクシング名勝負100 昭和編』(日刊スポーツグラフ)。
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