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(写真:総合格闘技の新時代を築けるかに注目が集まる (c)RIZIN FF)

 年末に格闘技のビッグイベントが戻ってくる。

 その名も「RIZIN」(ライジン)。12月29日、31日と2日間にわたって、さいたまスーパーアリーナで開催される。

 

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 公式サイトには、イベントの理念がこのようにつづられている。

「世界中に数多ある格闘技プロモーションを一つにまとめることではありません。その国の文化や慣習や特色といったものが反映された、その団体が持ち独自色を保ったまま、強さを競い合う『舞台』を作り出すことです」

「我々は、プロモーション(団体)ではなく、フェデレーション(協会)を立ち上げ、数多ある団体と競合するのではなく、競技会の主催者として、大会を開催・運営していきます」

 

 つまりこれまでの「PRIDE」シリーズとは異なる。世界の格闘技団体と提携してそれぞれの代表者で競い合う場。日本を舞台とすることで「ラインジング・サン」と「雷神」をかけて、「RIZIN」という名前がつけられたという。ベラトールFC(米国)、BAMMA(英国)、BUSHIDO(リトアニア)、ジャングルファイト(ブラジル)、KSW(ポーランド)など世界の格闘技団体とネットワークを結んでいる。

 

 石井らが狙う初代王座

 

 その第1回大会の目玉となるのは「RIZIN FIGHTING 」と題した8選手参加のヘビー級トーナメントだ。

 

 ベラトールFCの人気選手の一人であるキング・モー、BUSHIDO欧州ライトヘビー級王者のテオドラス・オークストリス、ジャングルファイト100kg級覇者ブルーノ・カッペローザ、昨年の世界サンボ選手権100kg級を制したロシアのワジム・ネムコフなど、多士済々の強者がそろった。日本からは2008年北京五輪男子柔道100kg級金メダリストの石井慧も参戦を果たす。

 

 29日に1回戦、31日に準決勝と決勝が行われる。

 トーナメントで注目したいのは、「戦極」で日本の総合格闘技ファンにも馴染みのキング・モーだろうか。アマレスで北京五輪出場こそ逃がしたが、代表選考会の決勝まで駒を進めた実力者である。

 

 2008年9月、「戦極」でトラビス・ビューを1回TKOで衝撃的なデビューを飾り、実績を積み上げてきたモー。その強さは折り紙つきで、ベラトールでも現在4連勝中で波に乗っている。派手な入場と、観客に名前を呼ばせるパフォーマンスも楽しみ。日本の舞台は慣れているだけに、彼が主役となる可能性は十分にあるだろう。

 

 不気味な存在は、ロシアからの刺客ネムコフだ。

「RIZIN」公式サイトのプロフィールには「国内のサンボ選手権において13年から3連覇中。ヒョードルも自信を持って推薦するロシアサンボ界の若手有望株」とある。“60億分の1の男”と呼ばれたエメリヤーエンコ・ヒョードルが「自信を持って」送り込むとなれば、期待が持てる。未知の強豪というのは、いつの世でも格闘技ファンの関心を引く。

 

 もちろん、日本代表として臨む石井を忘れてはいけない。

 IGFを主戦場に置いてきた彼は今年に入って2連勝中と調子を上げている。昨年の大みそかはミルコ・クロコップに2回TKO負けで返り討ちにされてしまった。今年こそ笑って年を越すためにも、金メダリストの意地を見たいものである。

 

 見どころ満載のスペシャルマッチ

 

 トーナメントもさることながら、ワンマッチも豪華なラインアップとなっている。

 まず29日はプロレスに活躍の場を移して、4年間も総合格闘技の舞台から離れていた桜庭和志が、日本の中量級エースである青木真也と契約ウエイトで対戦する。

 

 日本の新旧エース対決はどちらが先に「極めるか」というところがポイントとなるが、今をときめく青木の絶対的な優位は動かないだろう。また、シドニー五輪男子レスリング・フリースタイル63kg級日本代表で、総合でも着実に評価を上げている“ヘラクレス”宮田和幸とキック界のトップファイターである日菜太のMIXルールでの対戦も見ものだ。

 

 そして大みそかは、まずヒョードルが3年ぶりに現役復帰。対戦相手は15日時点で未発表ではあるが、いかなる勇姿を見せてくれるのか。

 

 ド迫力ファイトとなりそうな曙vs.ボブ・サップ、MMAルールで対決する長島☆自演乙☆雄一郎vs.アンディ・サワー。また、女子レスリング元世界女王の山本美憂を母に持つアーセン山本と、あのヒクソン・グレイシーを父に持つクロン・グレイシーの一戦も、非常に興味深い。

 

 なかでも元大関の把瑠都ことホーヴェルソン・カイドのデビュー戦は最注目だろう。

 怪力の持ち主で綱取りも期待された逸材。左ヒザのケガに泣かされて2013年の秋場所を前にして引退したとはいえ、まだ30歳と若いだけに故障さえ癒えれば格闘技界に進出するのではという声は少なくなかった。

 

 2m近い長身に、190kgほどの体重は20kgほど絞ったとか。元々、相撲界に入る前はナイトバーでボディーガードを務めており、ストリートファイトの経験も豊富なようだ。柔道エストニアジュニア王者の経歴もあり、格闘センスそのものが高いと見ていい。

 

 そのカイドの対戦相手に選ばれたのが“暴君”ことジェロム・レ・バンナ。真っ向勝負の肉弾ファイトは、カイドにとっても望むところだろう。

 

 トーナメントを制すのは、果たして誰か。

「RIZIN」の主役となるのは、果たして誰か。

 

 新たな伝説の誕生! かつて日本中を熱狂の渦に巻きこんだ総合格闘技イベントが新たに『RIZIN』として復活の狼煙をあげる。

 しかも、いきなりのさいたまスーパーアリーナ3DAYSを開催! スカパー! では初日のヘビー級トーナメント“1st ROUND”と、大晦日の同トーナメント準決勝・決勝を含む“FINAL”の2大会をノーカット完全生中継!

 

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【『RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015さいたま』放送予定】 (CS 800 スカチャン0)

 

12月29日(火)15:00~ 1st ROUND 1回戦4試合に+SPマッチ(計12~16試合)

12月31日(木)15:00~ FINAL 準決勝・決勝・リザーブマッチ4試合+SPマッチ(計12~16試合)

 

※このコーナーではスカパー!の数多くのスポーツコンテンツの中から、二宮清純が定期的にオススメをナビゲート。ならではの“見方”で、スポーツをより楽しみたい皆さんの“味方”になります。


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