日本人初のK-1王者(ミドル級)の魔裟斗(本名・小林雅人)が6年ぶりにリングに戻ってくる。相手は格闘技団体UFOに所属する山本KID徳郁。この2人は11年前に対戦し、魔裟斗に軍配が上がった。

 

 

 なお、この試合は12月31日、TBS系の「史上最大の限界バトル KYOKUGEN2015」にて生放送される。

 

 11年前の対戦はK-1ルールで行われ、初回に早くもKIDが魔裟斗からダウンを奪った。キック2戦目とは思えないKIDの洗練された身のこなしは、自らが口にするように“神の子”そのものだった。

 

 しかし、2ラウンド以降は地力に勝る魔裟斗が徐々にKIDを圧倒し、2対0の判定で注目のカードを制した。

「オレより5キロも軽く、ダウンを取ったのはさすが」

 

 試合後、魔裟斗は抱擁しながらKIDを称えた。

 

 今回も戦い慣れたK-1ルールというのは魔裟斗にとって有利だが、6年ぶりのブランクが気になる。

 

 ともあれ11年前の対戦の感想を魔裟斗に訊いた。

「(初回の)ダウンはタイミングの問題。全く効いていませんでしたから。見ている側にしてみたら、あの試合はギリギリの勝負に映ったかもしれませんが、やっている本人たちは全然、違っていた。僕自身はKIDをボコボコにしたつもりだったし、おそらくKIDもそう思ったことでしょう」

 

 判定こそ、3人のジャッジのうちひとりがドローと採点したように僅差だったが、実際には自分の圧勝だったと魔裟斗は考えているようだ。

 

 だが、現役のファイター相手に、今回もうまくいくとは限らない。試合勘を取り戻すには相当な時間がかかるとも言われている。

「いくらスパーリングを数多くこなしても、実戦とは勝手が違う。頭では分かっているのに、体が反応しない。“こんなはずじゃない”と思っているうちに試合が終わってしまう可能性もある。KIDにも“6年もブランクのある選手には負けられない”という意地があるでしょう」(元K-1関係者)

 

 その一方で体づくりに関しては、さして心配はなさそうだ。というのも彼の場合、引退後も現役時代と変わらない体型を維持しているからだ。

 

 それについて訊くと、こんな答えが返ってきた。

「僕は現役時代からいろいろな人の本を読むのが好きで、中でも影響を受けたのが郷ひろみさんと東山紀之さん。2人とも全然、体型がかわらないですよね。2人を見習って、引退する前からジム通いを決めていた。そして引退試合の5日後には、もう近所のジムに入会していましたよ」

 

 趣味は「早寝早起き」。彼は6時前に起き、夜は10時にはもうベッドに入っている。引退後も、これだけストイックな生活を続けている格闘家は珍しい。

 

 36歳でどれだけのパフォーマンスが披露できるか。魔裟斗にとっては“己への挑戦”の意味合いが強いカムバックなのではないか。いずれにしても大晦日が楽しみである。

 

<この原稿は2015年12月27日号『週刊漫画ゴラク』に掲載されたものです>

 


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