24日、大相撲初場所千秋楽が東京・両国国技館で行われ、幕内は1敗で単独トップに立っていた大関・琴奨菊(佐渡ケ嶽)が大関・豪栄道(境川)を突き落としで破った。琴奨菊は幕内初優勝。日本生まれの力士の賜杯獲得は、大関・栃東(現玉ノ井親方)以来、10年ぶり。三賞受賞力士は、琴奨菊に土をつけるなど12勝3敗を挙げた前頭七枚目の豊ノ島(時津風)が3回目の殊勲賞に輝いた。技能賞は該当なしで、敢闘賞には新入幕で2桁勝利を収めた前頭十二枚目の正代(時津風)が選ばれた。

 

 琴奨菊がついに賜杯を手にした。モンゴルを中心とした海外勢の独走を許していた大相撲。日本人力士の優勝は旭天鵬(現大島親方)以来、4年ぶりである。とはいえ旭天鵬はモンゴル出身。国内出身で限れば、06年初場所の栃東まで遡らなければならない。

 

 今場所の琴奨菊は、十二日目まで3横綱(鶴竜、白鵬、日馬富士)を撃破する快進撃を見せた。十三日目に豊ノ島に敗れ、初黒星を喫したものの単独トップで千秋楽を迎えた。対戦相手は16勝20敗と負け越している豪栄道だった。

 

 制限時間いっぱいとなり、塩を撒く前の反り返るルーティーン。場内が一気に沸く。決戦の時はやってきた。優勝が決まる大一番。得意の出足のいい相撲で寄る。豪栄道を土俵際まで一気に追い込んだ。粘る相手の力を利用して小手投げ。豪栄道を土俵上に転がした。

 

 福岡出身の琴奨菊は、初土俵が02年初場所、新入幕は05年の初場所である。新入幕からは所要66場所で初戴冠を果たした。大関在位26場所目の優勝。その道のりは遠かった。今場所の優勝で綱取りも見えてきた。来場所で連続優勝を果たせば、待ったなしで横綱昇進を手繰り寄せる。

 

(文/杉浦泰介)