2月2日、東京・日本武道館で「K-1 WORLD MAX2008 日本代表決定トーナメント」が行われ、トーナメント初参戦の城戸康裕(谷山ジム)が決勝でHAYATO(FUTURE_TRIBE)を下し、優勝を果たした。
 城戸は初戦で尾崎圭司(チームドラゴン)、準決勝で優勝候補にあげられていたアンディ・オロゴン(チームオロゴン)にそれぞれ判定勝ちをおさめ、決勝では準決勝までの戦いでダメージの残るHAYATOからダウンを3度奪い、1R1分07秒KO勝利。25歳の伏兵が、混戦のトーナメントを制した。
 誰が勝っても初優勝という今年の日本トーナメント。制したのは、オープニングファイトで実績を残し本戦初出場となったMAキック王者の城戸だった。
 城戸は1回戦、テコンドーをバックボーンに持つ尾崎圭司(チームドラゴン)に判定勝利をあげると、続く準決勝では、初戦で全日本キックのウェルター級王者・山本優弥(青春塾)を下し勝ち上がったアンディと対戦。山本戦でのダメージが残るアンディを3R、右ローキックで攻め込み、3−0の判定勝ちで決勝進出を決めた。
 一方のブロックは、2年連続準優勝のTATSUJI(アイアンアックス)を1R1分10秒、KOで沈めたプロボクシングの元日本3階級王者の前田宏行(BUKUROジム)と、REAL DEALミドル級王者の龍二(リアルディール)と激闘を演じたHAYATO(FUTURE_TRIBE)が勝ち上がった。前田×HAYATOの準決勝、前田がTATSUJI戦でも炸裂した強烈な左右のフックで、1R終盤、HAYATOからダウンを奪う。しかしラウンド内で仕留めきれず、1R終了後、右ひじ骨折の疑いで無念のTKO負け。HAYATOが、決勝進出を決めた。

 城戸とHAYATOの決勝戦。6度目の出場で悲願のトーナメント優勝を誓っていたHAYATOだったが、準決勝までに受けたダメージの大きさは明らか。開始早々、城戸がパンチの連打でHAYATOから2度のダウンを奪う。直後、逆に城戸に左フックをヒットさせダウンを奪い返したHAYATOだったが、その後、さらに右ストレートを顔面に浴び、マットに沈んだ。城戸が本戦初出場にして、初優勝を果たした。
(写真:HAYATO(左)からダウンを奪う城戸)

 リング上で全身で喜びを表現した城戸は、マイクを手にすると「初めまして、城戸です。名前だけでも覚えて帰ってください。憧れの魔裟斗選手にはまだまだ追いつけない。魔裟斗選手にコイツならMAXを任せられると思ってもらえる選手になるまで頑張ります」と挨拶。その後の会見では「1回戦のことしか考えていなかった。周りも思っていなかったと思うが、自分も優勝できると思っていなかった。(「M-1」で敗者復活から優勝を果たした)サンドウィッチマンみたいな心境です」と笑わせた。前日の会見で優勝賞金の使い道について「大学の奨学金の返済に使いたい」と語っていたが「今までは月に少しずつ返していたが、これで残り約200万円を一括で返せる。めちゃめちゃ嬉しい(笑)」とリング上での表情とはギャップのある人懐っこい笑顔を見せ、「注目されていない分、やりやすかった。でもこんな戦い方じゃまだまだ魔裟斗選手、佐藤選手の足元にも及ばない。もっともっと練習しないと。今日の反省を生かして次の(4月の)試合も取りこぼさないように頑張りたい」と意気込みを語った。
 城戸は昨年準優勝の魔裟斗、ベスト8に進出した佐藤とともに、日本代表として「K-1 WORLD MAX開幕戦(4月9日、広島グリーンアリーナ)に出場する。

 ブアカーオ、2008年初戦は佐藤に判定勝ち

 スーパーファイト注目のブアカーオ×佐藤は、延長の末、ブアカーオが判定勝ちをおさめた。
 前日の会見で「(ブアカーオ戦に勝って)MAXの勢力図を一気に変えてやろうと思う」と気合を見せていた佐藤だったが、ブアカーオの壁は厚かった。手足のリーチを生かしローキックと左右のパンチで攻める佐藤に対し、元王者ブアカーオは落ち着いて応戦。両者ともに決め手がなく3R終了時点ではドロー。延長ラウンドは序盤からブアカーオが、左フック、アッパー、右フックとパンチで佐藤を攻め込む。一方的な展開となったが、終了間際、佐藤のカウンターの左フックがブアカーオにヒット。ブアカーオの動きを一瞬止めたが、すぐに終了のゴングが鳴り、判定2−1でブアカーオが勝利した。
 勝ったブアカーオは「日本は寒くて、動きが遅くなってしまった。佐藤選手は練習を積んできていると感じた。前回対戦したときより技を出すタイミングが良かったが、1つ1つのパンチは重くなく効かなかった」と振り返った。
 一方の佐藤は、「結果が欲しかった。(延長ラウンドは)前半もらいすぎたが攻撃は見えていたのでどこかでチャンスがあると思っていた。ワンチャンスを生かしたかったが…。ある程度は作戦通りに戦えたし、力は出しきれたと思うが、結果が欲しかった」と悔しそうに語った。
 終了後、谷川貞治K-1イベントプロデューサーは、佐藤について「世界トーナメント開幕戦への出場は確定。ただ課題は残った。延長ラウンドのビデオをよく見返してまた頑張ってほしい」と注文をつけた。


試合結果は以下のとおり。

★「K-1 WORLD YOUTH 2008」日本vs.オランダ
<先鋒戦>
○嶋田翔太(日本/島田塾)
2R 0分32秒KO
×バピー“ベビーフェイス”テテロー(オランダ/メジロジム)

<中堅戦>
○才賀 紀左衛門(日本/大誠塾)
3R判定 3−0 
×ロイ・タン(オランダ/ボクシング82)

<大将戦>
○HIROYA(日本/フリー)
2R 2分05KO
×ロビー・ハヘマン(オランダ/チームグンヤー)

<第1試合> ※スーパーファイト
○アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ/キャプテンオデッサ)
1R 3分00秒KO
×我龍真吾(日本/ファイティングマスター)

<第2試合> ※日本代表決定トーナメント1回戦
○アンディ・オロゴン(ナイジェリア/チームオロゴン)
3R判定 3−0
×山本優弥(日本/青春塾)

<第3試合> ※日本代表決定トーナメント1回戦
○城戸康裕(日本/谷山ジム)
3R判定 3−0 
×尾崎圭司(日本/チームドラゴン)

<第4試合> ※日本代表決定トーナメント1回戦
○前田宏行(日本/BUKUROジム)
1R 1分10秒KO
×TATSUJI(日本/アイアンアックス)

<第5試合> ※日本代表決定トーナメント1回戦
○HAYATO(日本/FUTURE_TRIBE)
3R判定 2−0
×龍二(日本/リアルディー)

<第6試合> ※日本代表決定トーナメントリザーブファイト
○白須康仁(日本/花澤ジム)
2R 2分46秒KO
×蜜山剛三(日本/ファイブリングス)

<第7試合> ※日本代表決定トーナメント準決勝
○城戸康裕
3R判定 3−0 
×アンディ・オロゴン

<第8試合> ※日本代表決定トーナメント準決勝
○HAYATO
1R終了時TKO
×前田宏行

<第9試合> ※スーパーファイト
○ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ/ポー.プラムックジム)
延長判定 2−1
×佐藤嘉洋(日本/フルキャスト・名古屋JKファクトリー)

<第10試合> ※日本代表決定トーナメント決勝戦
○城戸康裕
1R 1分07秒KO
×HAYATO