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(写真:2月中の開幕はJリーグ史上最も早い)

 明治安田生命Jリーグの開幕を約1週間後に控えた18日、都内ホテルで「2016Jリーグキックオフカンファレンス」が行なわれ、J1・J2・J3の全53クラブの代表選手が集結した。昨季に続き、今季もJ1は2ステージ制、チャンピオンシップ(CS)制度で行われる。Jリーグの村井満チェアマンは「タフでスピーディーでフェアなサッカーを続けていく」と意気込んだ。

 

「いくつかフットボールの側面に変化が見られた」。村井チェアマンはデータを用いて、昨年を振り返った。

「開始15分での得点が10%くらい前年比で増えた。逆転のゲームが20%、ペナルティエリアからの外側からのシュートが43%も増えた。最初から最後まで諦めずに常にゴールを狙っている。そんなサッカーがJ1では見られた。今年もぜひ多くのファン、サポーターを魅了するサッカーを続けて行きたい」

 昨年のレギュレーションの変更に手応えがある中、Jリーグは開幕を迎える。

 

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(写真:「最初から最後まで常にゴールを狙っているサッカーがJ1では見られた」と語る村井チェアマン)

 ディフェンディングチャンピオンのサンフレッチェ広島は、ホームでの開幕戦で川崎フロンターレと激突する。昨季のリーグ戦では抜群の安定感を見せてJリーグ王者になった広島。広島主将のMF青山敏弘は「みなさんは特に佐藤寿人さんと大久保嘉人さんのどちらが点をとるかが注目していると思うんですけど、2人に点をとってもらって最後はジャガー(浅野拓磨)に決めてもらえれば大満足な開幕戦になると思う」と語った。一方、広島の地へ乗り込む川崎のMF谷口彰悟は「昨シーズンのチャンピオンチームと開幕戦で戦えるというのは非常に嬉しい。ウチとしてはしっかり相手を叩いて勢いに乗っていく」と抱負を述べた。

 

 今季の昇格組としてJ1に復帰をするのが、大宮アルディージャ、ジュビロ磐田、アビスパ福岡の3クラブだ。中でも3年ぶりにJ1の舞台に帰ってきた名門・磐田に注目が集まる。磐田の名波浩監督は「一生懸命最後まで諦めないのがジュビロのストロングポイント。3年ぶりのJ1を選手と楽しみたい」と胸を躍らせる。

 

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(写真:08年にG大阪が制して以来、Jリーグ勢はACL優勝から遠ざかっている)

 村井チェアマンが目標に掲げるのはAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の王座奪還だ。2016年のJリーグからは、広島、ガンバ大阪、浦和レッズ、FC東京がACLに参戦する。広島の青山はタイトな日程での戦いを余儀なくされるが、悲観はしていない。「クラブワールドカップの経験は今年のACLに生きてくる。選手がターンオーバーで替わった中でも勝てる選手層の厚みが(広島の)強み」。毎年の移籍市場で大きな補強が目立つ浦和は9年ぶりのアジア王者を狙う。今年は湘南ベルマーレのDF遠藤航、スロベニア代表のDFイリッチらを獲得した。今季から背番号10をつける司令塔のMF柏木陽介は「日本勢で決勝ができるように頑張っていきたい」と決意を語った。

 

 今季からFC東京、G大阪、セレッソ大阪の3クラブはU-23チームをJ3に参戦させる。さらにはJリーグがサテライトリーグを復活させるなど若手育成に力を入れる。村井チェアマンは「若手の出場機会をどんどん増やす。育成システムに対するクラブの評価、格付けをJ1J2全クラブで行い、世界と比較をしていくという試みにもチャレンジする」と育成に注力していくことを宣言した。

 

 J2にはレノファ山口FCとFC町田ゼルビアが昇格し、J3には鹿児島ユナイテッドFCが加わった。38都道府県、53クラブ体制でJリーグは開幕を迎える。ヤマ場が多く、白熱した戦いがもうすぐスタートする。

 

チームの完成度を測る絶好の機会 ~富士ゼロックススーパーカップ~

 

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(写真:ゼロックススーパー杯はキャンプでの成果を試す絶好の機会だ)

 キックオフカンファレンスに引き続き、20日に行なわれる富士ゼロックススーパーカップの事前会見が開かれた。リーグ王者広島からは青山、森保一監督、天皇杯王者G大阪からはDF岩下敬輔、長谷川健太監督が登壇した。

 

 シーズンを占う前哨戦となるゼロックススーパーカップが目前に迫る中、青山が「昨年からG大阪とは良い戦いができている。今年の最初の試合、みなさんに盛り上がって頂けるような試合にしたい」と語れば、G大阪の岩下は「去年同様、1つ目のタイトルを獲れるようにチームみんなで頑張る」とシーズン初タイトル奪取への抱負を口にした。

 

 昨季はリーグ制覇にクラブワールドカップ3位と好成績を残した名将・森保は「2016年のシーズンの始まり。このゼロックススーパーカップを戦える2チームの内の1チームが我々であることによろこびを感じながら戦いたい。大きなタイトルの1つだと思って勝利を目指して戦いたい」と必勝を誓った。一方、昨年はこのタイトルを手にしているG大阪の長谷川監督は「素晴らしい相手と素晴らしいゲームをしてゼロックススーパーカップを盛り上げたい。昨年の覇者という考えは全く持ってないです。一番初めの公式戦で(広島を)倒してはずみをつけたい」と意気込んだ。

 

 この4年で3度もリーグを制している広島と、リーグ戦とナビスコカップで準優勝し、天皇杯で優勝を果たしたG大阪の一戦はハイレベルなゲームが予想される。開幕前にリーグ屈指の好カードを観戦できるとあって、日本のサッカーファンの注目度も高い。リーグを占う前哨戦は2日後、神奈川・日産スタジアムで13:35に行なわれる。

 

(文/大木雄貴、写真/石田洋之)