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(写真:プロの世界に送り出す栗田監督<左>とFC東京のユニホームに袖を通す室屋選手)

 8日、明治大学体育会サッカー部でU-23日本代表の室屋成のFC東京加入内定会見が、明治大学駿河台キャンパス紫紺館で行われた。室屋は2015年4月にFC東京の特別強化指定選手として登録されたが、2016年シーズンより大学のサッカー部を退部して正式に同クラブとプロ契約を結んだ。9日からFC東京に合流する。大学自体は退学せずに、長友佑都(インテル・ミラノ)、武藤嘉紀(マインツ05)らと同じように大学生Jリーガーとして二足のわらじを履く。

 

 先のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねた「AFC U-23選手権」で唯一の大学生として話題になった室屋がついにプロ入りを決めた。所属先は昨シーズンJ1リーグ年間4位のFC東京だ。

 

 室屋は青森山田高校卒業時に清水エスパルスからオファーを受けていた。だが、当時はMFからサイドバックにコンバートされたばかりだった。そのため室屋はオファーを断り、長友を輩出している明治大学で経験を積むことを選んだ。

 

 その室屋が大学卒業を待たずしてプロの道へ進む。その理由を彼はこう語った。

「4年生になる年なので、3年間一緒にやってきた仲間とあと1年やりたいという気持ちももちろんありました。でもオリンピックの予選に出場して自分自身、“もっと上のレベルでプレーしたい”“Jリーグで挑戦したい”という気持ちが強くなったので、FC東京でプレーをすることに決めました」

 

 室屋が自信を掴み、FC東京入りを決断したきっかけとなったのは「AFC U-23選手権」だ。右サイドバックとして、アシストを記録し、1対1の粘り強い守備を見せるなど攻守に活躍をしていた。室屋のプレーについてサッカー解説者の宮澤ミシェル氏は「自分のディフェンスにこだわりがある」「(攻撃に)行く時と行かない時の判断をはっきりしていた」「帰陣が早い」と称えていた。

 

 守備のこだわりについて室屋は「とにかく、試合中ずっとマッチアップする選手に対して、“絶対負けへんぞ”と思っている。1対1の時も“絶対この選手には負けへん”というメンタルでやることです」と力強く語った。

 

 ミシェル氏が言うように室屋には攻守の切り替えの早さ、判断力の良さが光る。その点について、明治大学サッカー部の栗田大輔監督はこう語っていた。

「特別に“このタイミングで出ろ”とか“この時は行くな”という話はしてないんですけど、僕が監督になって明治のスタイルを常にサイドを起点にしようとしました。室屋と高橋諒(名古屋グランパス)がずっとやってきたサイドバックのオーバーラップを活かすために、インサイドハーフのポジションのとり方や、ボールの動かし方をずっとやり続けてきた。その中で彼が掴んでいったんだと思います。逆サイドにボールがある時のポジションのとり方が非常に早いので(攻守が)切り替わった瞬間、守備のポジションにつくのも早い。そこが彼の特徴でもあります」

 

 FC東京のサイドバックには徳永悠平と駒野友一がいる。室屋は「代表クラスの選手ですし、2人の選手から多くのことを学びたいと思っています」と語った。しかし、この2人のうちどちらか1人を押し退けて出場機会を確保しないと、リオデジャネイロ五輪本大会のメンバー選出にも黄色信号が灯る。大学生Jリーガーは1対1の強さ、ポジショニングと判断の良さを武器にFC東京のレギュラーを奪いにいく。

 

(文・写真/大木雄貴)