アジアシリーズは29日、決勝が台中インターコンチネンタル球場で行われ、予選リーグ1位通過の福岡ソフトバンクは同2位の韓国・サムスンライオンズと対戦した。ソフトバンクは初回に1点を先行したものの、5回に一挙5点を奪われる。終盤の反撃も及ばず、敗れて準優勝に終わった。今季、3年ぶりに復活した同シリーズで日本勢が優勝できなかったのは5回目で初めて。

◇決勝
 攝津の先発回避響く
サムスン      5 = 000050000
福岡ソフトバンク 3 = 100000020
勝利投手 張ウォン三
敗戦投手 岩嵜
セーブ   呉昇桓
 予選リーグを無敗で突破し、強さをみせていたソフトバンクに落とし穴が最後に待っていた。
 まず、アクシデントに泣いた。和田毅、杉内俊哉の両左腕が欠場する中、満を持して先発予定だった攝津正が右肩の張りを訴え、登板回避。予選リーグ第3戦で先発した岩嵜翔を中1日でマウンドへ上げざるを得なかった。

 岩嵜はストレートを軸に4回までサムスン打線を1安打に抑えたものの、5回に崩れる。1死からヒット、死球、四球で満塁のピンチを招くと、丁亨植、朴錫ミンに連続タイムリー。逆転を許す。さらに2死後、康奉珪の強い当たりにショートの川崎宗則がグラブをはじかれ、この回、大きな5点を失った。

 また予選リーグではサムソン相手に9得点を奪った打線も不発だった。2009年WBC韓国代表の左腕、張ウォン三から初回に松田宣浩の二塁打で1点を先行したが、2回以降は直球と変化球のコンビネーションの前に思うような打撃ができない。

 ようやく反撃をみせたのは8回。川崎、本多雄一、内川聖一の3連打で無死満塁のチャンスをつくる。ところが、先制打を放った松田が相手守護神の呉昇桓の前に内野ゴロ併殺打。この間に1点を返すにとどまった。なおも長谷川勇也がタイムリーを放って2点差に迫るが、後続が倒れ、追いつけなかった。

 今シリーズのソフトバンクは投手では新垣渚や地元・台湾出身の陽耀勲、野手では今宮健太などシーズン中とは異なるメンバーの活躍で決勝まで勝ち進んだ。しかし、交流戦、レギュラーシーズン、クライマックスシリーズ、日本シリーズと完全制覇したシーズンを最後に優勝で締めくくることはできなかった。