4月2日のアイランドリーグ開幕に向けて、チームが本格的に始動しました。これまで対外試合を3試合行いましたが、結果は1勝2敗。今年はチームの始動が例年よりも遅かったため、全体的に仕上がりが遅れています。

 

 昨年までレギュラーだった高田泰輔やザック・コルビーなどが抜けて、レギュラーポジションが空いているので、そこにどれだけ新人が割り込んでくるかが楽しみです。足が速い、バントが上手い、肩が強い、守備がいいなど、使い勝手が良い選手や特徴ある選手がポジションを獲得するでしょう。

 

  これまでの対外試合すべてに登板した新外国人のリチャード・ビエルスは、球威が強い。彼は21歳と若いですし、明るい性格をしているので、チームにすっかり溶け込んでいる様子です。細かいコントロールをつけられるようになれば、より一層、良くなるでしょう。

 

 同じく3試合すべてに登板した佐藤宏樹は、10日の伯和ビクトリーズ戦でストレートを狙い打ちされていました。彼は良いストレートを放りますが、それだけでは通用しないということを前回の登板を通じて痛感したと思います。もう少し投げ込むことで、課題を見つけて一皮むけて欲しいです。

 

 野手では4番の穴を埋めるべく、昨年東京ヤクルトでプレーしていたミッチ・デニングの入団が決まりました。合流したばかりなので細かいことはまだ分かりませんが、彼には何かやってくれそうな雰囲気があります。デニングが一人いるだけで、打線がガラッと変わるのでありがたい存在ですね。

 

 メディアに注目されているのが、お笑い芸人出身のサブロク双亮。彼は41歳でチームの最年長ですが、若手に負けじと一生懸命やっています。現状は先発ではなく、中継ぎでの起用を考えています。彼にはブランクがあるため、ここで無理をして怪我されたら一番困ります。対外試合で投げるかどうかは、調整具合を見て判断する予定です。

 

守りの野球で独立リーグ連覇へ

 昨秋のドラフトでNPB入りが期待されていた阿部直晃は、昨年に比べて球のキレが良くなってきました。アイランドリーグでは今のままで十分通用しますが、プロに行ったらそうはいかないでしょう。彼はコントロールの精度を上げることがプロ入りするための課題です。昨年は残念ながらチームから誰もNPB入りを果たせなかったので、今年こそNPB入りを目指して一年間戦っていきたいと思います。

 

 まだ対外試合を3試合しか行っていないので、開幕に向けてのメンバーはほとんど決まっていません。現状決まっているのは「4番・デニング」だけです。開幕までの対外試合で選手たちがどれだけアピールをしてくれるのか、僕は全員に期待しています。

 

 チームの戦い方はこれまでと変わらず「守りの野球」を継続します。ウチの投手陣は、簡単には打たれないと思うので、守りながらリズムを作り攻撃する。僕が監督に就任してからこの戦い方を貫いているので、「守りの野球」で、今年は2年連続独立リーグ日本一を目指します!

 

弓岡敬二郎(ゆみおか・けいじろう)プロフィール>:愛媛マンダリンパイレーツ監督
 1958年6月28日、兵庫県出身。東洋大姫路高、新日鐵広畑を経て、81年にドラフト3位で阪急(現オリックス)に入団。1年目からショートのレギュラーとなり、全試合出場を果たすと、84年には初の打率3割を記録してリーグ優勝に貢献。ベストナインとダイヤモンドグラブ賞を獲得する。87年にもゴールデングラブ賞に輝き、91年限りで引退。その後もオリックス一筋で内野守備走塁コーチ、2軍監督、2軍チーフコーチ、スカウトなどを歴任。13年をもって33年間在籍したチームを退団し、愛媛の監督に就任した。現役時代の通算成績は1152試合、807安打、打率.257、37本塁打、273打点、132盗塁、240犠打。

 

(このコーナーでは四国アイランドリーグplus各球団の監督・コーチが順番にチームの現状、期待の選手などを紹介します)


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