開幕してからこれまで4試合戦い、結果は1勝2敗1分け(4月19日現在)。まぁまぁな結果と言っていいでしょう。愛媛マンダリンパイレーツに3-7で惨敗した第2戦以外は、勝ちに持っていける試合展開でした。紙一重のところで負けてしまいましたが、4試合を終えてチームの課題が分かっただけでも十分な収穫です。

 

 まず1つ目の課題は、相手のスキをつけるようになることです。プレーを見ていると、 敵のことよりも“打ちたい”“抑えたい”という気持ちが先走っていました。その結果、敵に裏をかかれてしまい、得点に繋がらないシーンがありました。

 

 相手のスキをつくには、まず敵の裏をかくことです。例えば、打席で変化球を待っている時にわざとストレートを振りにいく。そうすれば、ピッチャーはストレートを投げにくくなるので、変化球を放る可能性が高くなります。つまり、ストレートを狙うふりして、変化球を投げさせるんです。野球は心理戦でもあるので、いい意味で“ズルく”ならなければいけません。

 

 2つ目の課題はメンタル面の強化。ウチの選手はどちらかというと優しい選手が多いので、接戦にもつれた時に弱気になってしまいます。チームの性格が最もよく表れていたのが、ソフトバンク3軍との開幕戦です。

 

 選手たちはNPBのユニホームを見ただけで気後れしているように感じました。彼らは体幹が強いとか、強肩や俊足だとか、何かひとつ特化した才能があったからプロの世界に入れたんです。一方、ウチには特化した才能を持つ選手なんて数少ない。だからこそ、我々は“クレバーな戦い方”をしなければいけません。結果を恐れずに、ガムシャラにやってくれればいいのに……。

 

 ウチにはNPB入りを目指している選手が多いので、“3軍に勝てないようでは、プロの世界に行けない”という意識を持って戦って欲しいです。しかし、僕がそれを選手たちに言い過ぎてしまうとプレッシャーになりそうだし、逆に何も言わなければ相手を見ただけで弱気になってしまう……。選手たちがのびのびと戦うにはどうすればいいのか、監督として非常に難しいところです。

 

打撃のキーマン、河田

 さて、今年の野手の注目はキャプテンの河田直人です。彼はNPB入りの可能性が非常に高い選手。彼の課題は、もっと自信を持って大きく構えてスイングすることです。ボールに合わせようとする癖があるので、第1・2ストライクは“この1球で勝負する”と、思い切り振り抜き、1球で仕留める決定力を身に付けて欲しいです。

 

 投手の中心は開幕投手を務めた松本英明です。彼は開幕戦でプロ相手に7回3安打1失点と非常に良かった。しかし、2戦目は崩れてしまったので、現状は70~80%くらいの状態でしょう。本調子でなくてもきちんとゲームを作ってくれているので、ローテの中心には欠かせないピッチャーです。若手では、第3戦目に先発した秋山陸が目立っていました。彼は投げっぷりが良いので、今後も期待できそうです。

 

 一方、若手の野手はいまひとつ。僕は選手たちに「ありのままのサボテンじゃダメ、ポツンと立っているだけではダメ」と、よく言います。打席に立つにしても、守備をするにしてもプランを持ってプレーして欲しい。勿論、成長していることは認めますが、「あともう一歩だよ!」というところですね。

 

 監督1年目の目標は、最下位を脱出することです。アイランドリーグは4チームしかないので、僕は最下位を脱出することが、優勝争いに食い込むことに繋がると考えています。他のチームと比べて戦力的には引けをとっていないので、まずは選手たちに“我々は最下位にいるようなチームではない”と、自信を持って欲しいです。

 

 開幕戦から試合を重ねるごとに内容は良くなってきているので、選手たちも“俺たち、思っていたよりはいけるな”と薄々気が付いていると思います。彼らのこれからの成長ぶりに期待しています!

 

駒田徳広(こまだ・のりひろ)プロフィール>:高知ファイティングドッグス監督
 1962年9月14日、奈良県出身。桜井商高から80年にドラフト2位で巨人に入団。3年目の83年にNPB初のプロ初打席での満塁ホームランを放つ衝撃デビューを果たす。この年のリーグ優勝に貢献。89年には一塁手のゴールデングラブ賞を獲得(以降、一塁手では最多の10度受賞)。恐怖の7番打者として日本シリーズMVPに輝く。94年にはFA宣言をして横浜へ移籍。98年にはマシンガン打線の中軸を任され、ベストナインを受賞。チームは38年ぶりの日本一を達成する。チャンスに強く、満塁ホームランは歴代5位タイの13本を記録。00年に2000本安打を達成し、同年限りで引退。05年には新規参入した東北楽天の打撃コーチに。09年は横浜の打撃コーチ、12年からは常磐大の臨時コーチを務めた。16年より、高知の監督に就任。現役時代の通算成績は2063試合、2006安打、打率.289、195本塁打、953打点。

 

(このコーナーでは四国アイランドリーグplus各球団の監督・コーチが順番にチームの現状、期待の選手などを紹介します)


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