◇12月17日 熊谷スポーツ文化公園陸上競技場 9,234人
 愛媛FC 1−3 浦和レッズ
[愛媛] 福田健二(90+4分)
[浦和] マルシオ・リシャルデス(9分)、原一樹(38分)、柏木陽介(77分)
 後半ロスタイムに入り、スコアは0−3。敗色濃厚の試合で最後の意地をみせたのは、ここまでチームを牽引してきたベテランだった。 

 まずは今季限りで引退を表明したDF三上卓哉だ。プロ生活をスタートさせた古巣・浦和とのラストゲーム。イビッツア・バルバリッチ監督はホーム最終戦では出番のなかった31歳をピッチに投入する。その三上が左サイドを上がり、得意のクロス。ファーサイドで待っていたのが34歳のFW福田健二だった。

「いいボールをあげてくれた。これは決めないといけないと思った」
 名古屋グランパスエイト(当時)時代には天皇杯で優勝経験もあるストライカーは三上の思いをしっかりと受け取った。PA内の中央で一端、前に動き出して相手DFを引き付けると、今度はスッと下がってフリーの状態をつくりだす。ジャンプ一番、頭を合わせるとボールは孤を描いてゴールに吸い込まれた。

 現役最終戦での鮮やかなアシスト。直後に試合終了のホイッスルが鳴ったものの、浦和サポーターからはミカミコールが巻き起こり、クールな男も感極まった。
「ああいう結果で終われて個人的には良かった。(浦和サポーターにも)自分を忘れないで声かけてもらって幸せでした」

 4年間の愛媛生活ではキャプテンも務め、低迷するチームを支えた。一方で腰の故障に悩み、「自分のイメージしたプレーができなくなった」と引退を決断した。だが、そのラストプレーは全盛期と変わらぬ輝きを放っていた。愛媛にとっても来季につながる大きな置き土産を背番号14は残した。

 来季のJ2は22クラブに増加し、6位までに入ればJ1昇格をかけたプレーオフへの参加権を得られる。一方で下位に落ちると、JFLへの降格、入れ替え戦の可能性もある。バルバリッチ監督はリーグ戦では20クラブ中15位に沈んだシーズンを終え、「このオフは補強のメドが立っている。今年のような不用意なミスは減らせるのでは」と語り、「プレーの安定性」を来季の課題にあげた。

「今日の試合で(J2で)15位とは思えないところはみせられた。もっと上に行ける」
 リーグ3位タイとなる14得点をマークしたFW齋藤学はそう言い切った。敗戦の悔しさと、クラブを去る選手たちの思いを胸に2012年のシーズンはキックオフを迎える。

<両チームメンバー>
愛媛FC
GK 21 兼田亜季重
DF 13 関根永悟
   28 高杉亮太
    5 大野和成 → 14 三上卓哉(90+1分)
    7 前野貴徳
MF  6 田森大己
   19 越智亮介 → 16 赤井秀一(62分)
   25 東浩史
   17 大山俊輔
FW 11 石井謙伍 → 24 福田健二(74分)
   27 齋藤学 

浦和レッズ
GK  1 山岸範宏 
DF 14 平川忠亮 → 12 野田紘史(83分)
    2 坪井慶介
   26 濱田水輝
    6 山田暢久
MF 13 鈴木啓太
   10 マルシオ・リシャルデス
   22 山田直輝 → 27 小嶋秀仁(79分)
    8 柏木陽介
    7 梅崎司 → DF 3 宇賀神友弥(69分)
FW 21 原一樹