缶コーヒーブランド「ジョージア」は、2011シーズンもプロ野球12球団と提携、さらにNPBパートナー契約を締結し、“選べ、チームのためのベストプレー”をコンセプトに「ジョージア魂」賞の表彰を全12回実施しました。「ジョージア ベースボールパーク」のサイトでは、二宮清純の書き下ろしコラム「あのプレーにアンコール!」のコーナーをオフシーズンも更新します。今回は先日発表された年間大賞、選考委員特別賞について、改めて二宮がコラムを執筆しました。

(写真:年間大賞に輝いた楽天・田中は、受賞プレーとなった斎藤佑樹とのライバル対決を「死ぬ気でいった」と振り返る)
 当サイトでは選考委員特別賞に選ばれた楽天の嶋基宏捕手のコラムを特別に紹介します。

 東北楽天・嶋基宏「来季こそは自らの底力を!」

「見せましょう、東北の底力を! 野球の底力を!」
 震災後、東北楽天のキャッチャー嶋基宏が発したメッセージは被災地のみならず、多くの国民の心をとらえた。被災地球団の選手会長として、彼が果たした役割は大きい。
(写真:「(チームが)5位に終わったのはキャッチャーの責任」と巻き返しを誓う嶋)

 しかし成績は昨季よりも大幅にダウンした。目を覆うばかりだったのが打率。3割1分5厘から2割2分4厘と1割近くも落としたのだ。

 いったい嶋に何があったのか。監督の星野仙一は嶋に「底力、底力という割にはオマエの底力はどこへ行ったんだ? 来シーズンこそは底力を見せてくれ!」とお灸を据えたという。
 星野は語っていた。
「リーダーには二通りのタイプがある。自分の成績がどうであろうがチームを引っ張っていけるタイプと、自分の成績が振るわないと遠慮してしまうタイプ。残念ながら(選手会長の)嶋も(キャプテンの)鉄平も後者なんです。僕が求めているのは前者なんだけどね」

 ところで不振の理由について、嶋はこう語っていた。
「オープン戦で6試合くらいヒットを打てなくて迷いながら打席に入ることが続いたんです」
 大震災が起きた3月11日、楽天は兵庫県立明石公園第一野球場でオープン戦を行っていた。それから約1カ月にわたって、地元に帰ることができなかった。精神的動揺がなかったとは言えまい。

 だからこそ開幕ゲームの千葉ロッテ戦での決勝3ランは珠玉だった。嶋は4回に自らのミスで1点を失った。それを取り返そうと思って打席に入ったのだろう。
 振り返って嶋は語る。
「元々、僕はホームランバッターじゃない。ホームランを狙っていたわけでもありません。あのホームランは東北の皆さんが打たせてくれたもの。開幕戦ということもあって、僕の中では間違いなく一番、印象に残っています」

 シーズン後には田中将大とともに最優秀バッテリー賞を受賞した。田中と嶋は23試合でバッテリーを組み、18勝2敗。防御率0.998。2人の絆は年々、強まっているように映る。
 指揮官は「まだリード面で甘いところがある」と語るが、ワンバウンドのボールを身を挺して止める姿に信頼を寄せるピッチャーは少なくない。星野監督ならずとも来シーズンこそは「嶋の底力」に期待したいものである。

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