(写真:名古屋大会のメインカードを務めるプロハースカ (C)RIZIN FF/Sachiko Hotaka)
大晦日の総合格闘技イベント『RIZIN』は、フジテレビ系列で全国に放映され視聴率7.3%をマーク、12月29日の大会も合わせて試合内容が充実、会場も大いに盛り上がった。
総合格闘技人気復活の兆しが見えたと私は感じた。
そして春を迎え、また新たな格闘技シーズンの幕が上がる。4月17日、名古屋市にある日本ガイシホールにおいて『RIZIN.1』が開催されるのだ。この大会が『RIZIN』ナンバーシリーズのスタートとなる。
主な対戦カードは次の通り。
▼MMAルール(110キロ契約)
藤田和之(TEAM FUJITA)vs.イリー・プロハースカ(チェコ共和国)
▼グラップリングルール・ダブルバウト
桜庭和志(フリー)&所英男(リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)vs.ヴァンダレイ・シフバ(ブラジル)&田村潔司(U-FILE CAMP)
▼MMAルール(93キロ契約)
ワジム・ネムコフ(ロシア)vs.カール・アルブレックソン(スウェーデン)
▼MMAルール(98キロ契約)
テオドラス・オークストリス(リトアニア)vs.シング・心・ジャディブ(インド)
▼MMAルール(120キロ級契約)
キリル・シデルニコフ(ロシア)vs.クリス・バーネット(米国)
この他、RENA(シーザー事務)、ギャビ・ガルシア(ブラジル)、アマレス界のホープ村田夏南子が出場する女子3試合、キックボクシングファイト3試合、MMAルールファイト3試合が組まれており計14戦が予定されている。
注目すべきヘビー級対決
注目すべきは、やはりヘビー級ファイトか。
昨年12月29、31日、2日間にわたって繰り広げられた『RIZIN FIGHTING WORLD WORLD GP2015』ヘビー級トーナメントは凄絶を極めた。全7戦中6試合がKO決着。世界には強いヘビー級ファイターがまだまだ多く存在することを知らしめたトーナメントでもあった。そこに出場し、優勝こそ逃したが緒戦で勝利を収めた男たち3人が4・17名古屋のリングに登場する。
トーナメント1回戦で石井慧(フリー)に96秒KO圧勝、準Vを果たしたプロハースカは、日本ヘビー級ファイター、トップの1人である“野獣”藤田と対峙。ここで藤田を仕留めれば、プロハースカはさらに知名度を上げステータスを高めていく。ただ、この一戦は藤田にとっても負けられない闘いとなる。
2008年3月、『戦極』のリングでピーター・グラハム(オーストラリア)に一本勝ちを収めたのを最後に以降、MMA4連敗中の藤田が迎えるのはまさに“カド番”だろう。気迫溢れる野獣ファイトを期待したいが、私は、プロハースカ有利と見ている。
(写真:「RIZIN三銃士」のひとりネムコフ (C)RIZIN FF/Sachiko Hotaka)
“ヒョードルの秘蔵っ子”ネムコフ、“リトアニアの雄”テオドラスの2人も重量級の実力者。またIGFのリングで魅惑のファイトを繰り広げてきた“動ける巨漢”クリス・バーネットの参戦は特に興味深い。
クマの着ぐるみで踊りながら花道をリングに入場するこの男の身体能力は特筆もの。『RIZIN』でカルロス・トヨタ(ブラジル)をアッサリと葬ったシデルニコフを相手に、いかなるファイトで魅せてくれるのか。大いに楽しみだ。
格闘技の華は、やはりヘビー級の豪快な闘いである。桜庭、田村、シウバ、所といったメジャーどころが集うグラップリングファイトもあるが、それ以上にヘビー級抗争が面白そう。強い外国人ヘビー級ファイターが集えば、『RIZIN』のその後の展開にも期待が抱ける。
近藤隆夫(こんどう・たかお)
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『忘れ難きボクシング名勝負100 昭和編』(日刊スポーツグラフ)。
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