4月に入り平成28年度が始まった。職場や学校など環境が新しくなるなど、新年度はフレッシュな気持ちになる季節である。愛媛県体育協会の大亀孝裕会長の「新年度スタートにあたって」の意気込みを紹介しよう。

 

大亀孝裕

(写真:「えひめ国体に向けてまったなし」と語る愛媛県体協・大亀孝裕会長

◆大亀会長「えひめ国体に向けて総仕上げの年」
「新年度がスタートして愛媛県体育協会の最大の事業である『えひめ国体』の開催がいよいよ1年後となりました。すでにリハーサル大会も始まって、待ったなしの状況であります。
 今年度は、競技力強化の総仕上げのときだと考えています。総合優勝を達成するためにはターゲットエイジの強化、有望選手の確保、練習環境の改善等、課題が山積しています。特に練習環境については、練習時間の確保、より環境の整った練習場の確保、選抜チームの練習方法の改善、選手の健康維持管理等も重要な課題です。
 これらを解決して総合優勝への見通しを立てるのが今年度の目標です。
 選手の皆さんの多くは、仕事や学業などと練習とを両立させ、日々厳しい練習に耐え、精進しています。それを目の当たりにすると、練習の時間や場所等の改善に努め、もっと良い環境の下で練習をさせたいと切実に感じております」

 

 大亀会長は今年を「えひめ国体」総合優勝に向けての、重要な総仕上げのシーズンととらえている。そのために重要なのは練習時間確保や練習場所など周辺環境の改善だという。さらに大亀会長は続けた。

 

「今年10月には、岩手県で第71回国民体育大会が開催されます。岩手県は東日本大震災の復興の最中であり、大変な時期に国体を開催されます。そのご努力に敬意を表し、感謝申し上げます。岩手県民の皆様の熱意に応えるためにも、フェアプレイの精神で、全力で戦ってもらいたい。松山市内の神社の必勝祈願のお守りを各競技団体にお配りし、私の意気込みを伝えました。目標は総合成績10位以内、一つでも上位を目指して頑張りたいと思います」

 

 いわて国体に向け、愛媛県代表は前回の13位を上回る総合成績10位以内という目標を掲げた。そこからひとつでも順位を上げる、各競技のレベルアップが望まれるところだ。

 

「愛媛県にとりまして、64年ぶりの、しかも初めての本県単独開催ですので、国体を一過性の催しに終わらせてはなりません。ふる里スポーツの花を県下各地に咲かせて、県民スポーツの振興を図ることが大切です。
 さらに、『四国遍路文化』の地であるので、全国からおいでになる選手・監督を始め多くの方々に、心からの『お接待』をしたい。県民総参加で、これまでにないおもてなしの心でえひめ国体を開催したいと考えています。皆様さまのご協力ご支援をよろしくお願いいたします」

 

 国体開催には多くの意義があるが「もっとも重要なことは夢と希望のある愛媛づくりに貢献すること」と、大亀会長は常々語っている。えひめ国体を成功させるためには選手、関係者の奮闘だけでなく、愛媛県全体での支援、協力が重要になってくる。

 

◆ボート武田、高得点で県代表を牽引したい
 ボート部の武田大作に話を聞いた。昨年は紀の国わかやま国体で連覇を狙ったものの、男子ダブルスカルで5位入賞。ケガにも泣かされたシーズンだったが、今季は4月22~24日の中日本レガッタに向けて調整を続けていた。しかしそのトレーニング中に武田は腰を痛めてしまった。

 

「今年は4月の中日本レガッタ、5月の全日本軽量級。そして後半は10月いわて国体、11月の全日本と長いシーズンになります。それもありトレーニングの強度をアップしていたんですが、それで腰を痛めてしまいました。勝負はもちろんいわて国体と11月の全日本です」

 

 武田は今オフに有酸素運動の割合を増やしていた。これまでも有酸素系のトレーニングは取り入れていたが、よりワンランク上の耐乳酸のためのプログラムを増やした。スピードの反応が鈍くなってきたことを補うためだ。幸い腰の負傷も軽くリハビリも順調とのこと。

 武田は今季も県ボート協会強化部長も兼ねる。愛媛県代表の現状をこう語る。

 

「男子は強いメンバーがそのまま残っているし、レベルもアップしている。女子は今年はフルメンバーで出場できそうです。あとは少年の頑張りですが、成年チームが安定してリザルトを残すことで全体として成績をアップしたいです。レースを数多くこなしていろいろと学んでいくことと、質の高い練習を心がけています。ボートは(国体では)常に高い得点を出しているので、それを維持して、愛媛県代表を鼓舞、牽引していければいいですね」

 

DAIKIKYUDO2016

(写真:岩手、そしてえひめ国体へ意気上がる弓道部部員。左から佐々木磨理、玉木里奈、山下花凜、岡本豊未、山内絵里加)

◆弓道、県外遠征を増やしてレベルアップ
 昨年、6年ぶりの国体出場を果たした弓道部は、今年1月には第66回三十三間堂大的全国大会に新成人の岡本豊未、山下花凜が出場した。成人女子の部で山下が準優勝を果たして、幸先のいいスタートを切っている。

 

「先輩に追いつくことを目標にしていたので、いいスタートが切れてうれしいです。今季は練習量よりも練習の質にこだわっています。数を引きすぎると肩にくることもあるので、月1000~1200本で質にこだわっています」
 山下は国体に向けた予選会では3位につけており、5月22日の最終予選に臨む。

 

 同じく新成人の岡本は最近のトレーニングではストレッチなど、肩と腕のケアに気を配っている。
「いわて国体に向けた予選会では調子を落として結果を残せませんでした。気持ちを切り替えていきたいと思っています。その中で取り入れているのがストレッチです。練習だけでなく肩や肩胛骨をきちんとケアしていきたい。先輩たちとの差は縮まったと思ったのがまた開いてしまったのでがんばります」

 

 わかやま国体の代表メンバーだった山内絵里加は、3月に腕を痛めるというハンディがありながら国体予選会では5位の成績を残している。
「遠的が1位の成績でしたが近的がこれまでにない10位という結果で……。上位6人に入れるようになんとか最終予選(5月22日)ではがんばりたいです。腕を痛めたあとは治療を優先しながらも、ケガをする以前以上の的中率を目指しています。矢を放った後にブレがないように筋トレも取り入れています」

 

 国体予選で現在1位の玉木里奈は、いわて国体では遠的、近的の両方での好成績を目標としている。
「久しぶりに出場した昨年の国体で入賞したので、このままより強くなりいわて国体では遠近の両方で入賞するのが目標です。練習に際してはただなんとなく数をこなすのではなく、必ずテーマを決めています。例えば難しい話しになりますが、ある日は『ザンシン』を長めにとることを意識していました。ザンシンとは残身であり、残心でもあります。そこを意識すると的中精度が上がったように思います」

 

 主将の佐々木磨理は玉木と同様に国体に出場して遠的、近的の両方での入賞を目標にしている。
「ダイキのメンバーで国体に出場して好成績を残すことがまず何よりの目標です。個人としてはまだまだ後輩には負けないぞ、という気持ちでやっています。部としては県外遠征を増やしていきたいと考えています。3月には静岡遠征に行ってきました。いつもと違うところで緊張感が保てることと、強い相手と戦うことでレベルアップも図れることでしょう」

 

 他県のチームはなかなか遠的の練習場を確保するのが難しい環境だが、ダイキ弓道部は遠的の練習場に恵まれているという。それがアドバンテージでもあり、青野常孝監督はそれをより強固にするために選手にこんな指示を出している。

「監督からは『遠的は常に25点以上』と言われています」と佐々木。遠的の得点は中心から10点・9点・7点・5点・3点となっている。4本の矢で25点を出すには、コンスタントに7点以上に当てる集中力が要求される。アドバンテージをいかしてレベルアップを図るダイキ弓道部。いわて国体での躍進、そしてえひめ国体での優勝を目指す。

 

関連リンク>>公益財団法人 大亀スポーツ振興財団

(このコーナーでは2017年の「愛顔つなぐ えひめ国体」に向けた愛媛県やダイキのスポーツ活動について、毎月1回レポートします)


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