今夏に開催されるリオデジャネイロ五輪・男子サッカーの組み合わせが決まり、アジア王者の手倉森ジャパンはナイジェリア、スウェーデン、コロンビアと同組に入った。

 ナイジェリアは五輪予選を兼ねたU-23アフリカ選手権で優勝したアフリカ王者で、スウェーデンも欧州予選を1位で突破した。プレーオフで本大会出場を決めたコロンビアもこの世代で臨んだ2013年のU-20南米選手権を制している。

 

 厳しいグループとは言えるものの、手倉森誠監督は「良いグループに入ったと思います。勝っていくことで成長できる相手。ここを突破できればてっぺんまで登っていけそうな可能性を感じるグループです」と日本サッカー協会を通じて強気のコメントを残している。

 

 ただ、敵は相手チームばかりではない。

 開催地はブラジル。広大な国土のため開催場所によって気温も環境もマチマチで、移動するにも時間がかかる。現地でのコンディション調整が命運を分けると言っても過言ではない。

 

 8月4日(木)  対ナイジェリア(21時~マナウス)

 8月7日(日)  対コロンビア (21時~マナウス)

 8月10日(水)  対スウェーデン(19時~サルバドール)

 

 初戦、2戦目ともに同じ場所で戦えるのはプラス材料だと言えるだろう。とはいえ、アマゾン河流域にある大きな都市のマナウスは熱帯気候。8月は気温23度~33度ほどといわれているが、湿度は75%以上になるという。キックオフが21時と遅いため試合条件は幾分良くなると思うが、激しい体力の消耗も想定される。

 

 高温多湿に加え、中2日という日程で2試合を消化してから、今度はブラジル東部のサルバドールへ5時間以上かけての長距離移動を強いられる。平均気温は26度ほどとマナウスに比べればマシだが、ここも中2日で試合をこなさなければならなくなる。

 

 厳しい環境下での調整を求められるうえで頼もしい存在と言えるのが、早川直樹コンディショニングコーチである。これまで長年にわたってA代表のコンディション管理を支えてきた。

 

 南アフリカW杯では岡田武史監督の指示をもとに高地対策を実施。早川らメディカルスタッフは毎日、尿検査を実施して選手たちの疲労度や回復具合を測り、「きちんと眠れているか」「喉に痛みはないか」など自己申告のコンディショニングシートで微妙な変化も見落とさないようにしている。徹底した体調管理が、チームのベスト16入りを後押しした。

 

 しかし、4年後のブラジルW杯では今一つうまくいかなかった印象がある。初戦のコートジボワール戦ではチーム全体として動きが重かったとは感じなかったものの、その一方で「キレキレ」でもなかったように思えた。

 

 試合の開催地はどこも暑かった。だが、ベースキャンプ地イトゥは日本の秋に近く、朝晩は冷え込んだ。寒暖の差も微妙にコンディション調整に影響を及ぼしたのではないか、と筆者は考えている。ただ、欧州でプレーする選手が激増して、それぞれシーズンが終わるのはマチマチ。それぞれ違うフィジカルコンディションをチーム全体で合わせていくという難しさもあったはずだ。

 

 うまくいったことも、うまくいかなかったこともすべては日本サッカーの「財産」である。ブラジルでの経験に加え、過去五輪とW杯ともに5大会連続で出場していることも日本の強みだ。

 

 手倉森ジャパンは1月のアジア最終予選でも他チームと比べて動きの良さが目立っていた。ノウハウやデータを活用しながら、本大会に合わせて最高のコンディションをつくっていく。

 リオ五輪の舞台は日本サッカーの総力を結集した戦いになる。


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