3日、キリンカップサッカー2016の準決勝が愛知・豊田スタジアムで行われ、日本代表(FIFAランキング53位)がブルガリア代表(同69位)に7-2で快勝した。前半からMF香川真司の2ゴールを含む4得点で早くも試合を決定付ける。後半は2失点を喫するも、3ゴールを奪い、決勝進出。日本は7日に大阪・吹田スタジアムで、デンマーク代表を下したボスニア・ヘルツェゴビナ代表と対戦する。

 

 浅野、自ら獲得したPKで代表初得点(豊田スタジアム)

日本代表 7―2ブルガリア代表

【得点】

[日] 岡崎慎司(4分)、香川真司(27分、35分)、吉田麻也(38分、53分)、宇佐美貴史(57分)、浅野拓磨(87分)

[ブ] ミハイル・レクサンドロフ(59分)、イバイロ・チョチェフ(82分)

 

 5年ぶりに開催されたキリンカップは景気の良い結果となった。

 

 日本は試合開始4分、いきなりゴールネットを揺らす。ペナルティーエリア付近の右サイドでMF柏木陽介がボールをキープしつつ、相手のプレスをかわす。この間にファーサイドで待ち構えていたFW岡崎慎司が相手DFの裏を取る。柏木はこの動きを見逃さなかった。浮き球のクロスを送ると、岡崎が得意の頭でドンピシャリ。岡崎のヘッドがゴール右に決まり、日本が先制する。

 

 ボランチとDFの間のスペースを埋めることができないブルガリア。日本はうまくスペースを活用し、ボールを保持する時間が続く。リズムの良いパス回しで、ブルガリア陣形を間延びさせると、香川が立て続けにゴールを奪った。

 

 27分はDF長友佑都の左からのクロスにヘッドで合わせ、35分の得点は右サイドからだった。FW小林悠がグラウンダーのクロスを入れるとMF清武弘嗣がニアでスルー。最後は香川が反転しながらのトラップで相手をかわし、左足で流し込んだ。パスとスルーを織り交ぜた見事な連係のゴールだった。

 

 しかし、この後、香川は相手との接触で負傷。無念の途中交代でベンチへ退いた。日本は香川に代わってFW宇佐美貴史が左サイドに入り、清武をトップ下に置く布陣に切り替えた。

 

 38分にも日本はCKからDF吉田麻也のゴールが決まり、4-0で試合を折り返す。後半開始からヴァイッド・ハリルホジッチ監督は岡崎に代えて、FW金崎夢生をピッチへと送る。後半に入っても、日本の勢いは止まらなかった。8分、セットプレーの流れから再び吉田がゴールネットを揺らす。

 

 12分には右サイドを突破したDF酒井宏樹がファーサイドへセンタリングを供給する。このボールをペナルティーエリア左サイドで待ち構えていたのが宇佐美だ。フリーの宇佐美は胸でワントラップから右足を一閃。狙いすましたシュートが右サイドネットに決まった。

 

 しかし14分、日本はもったいない失点を喫する。自陣での吉田のヘッドでのクリアに誰も反応できず、相手に拾われて1本のパスでゴール前に運ばれる。このボールに反応したMFミハイル・レクサンドロフにゴールを許した。

 

 日本はテストの意味合いもあったためか、リスクを冒してどんどん前に出ていく。これが仇となり、37分にもブルガリアに失点を許す。攻撃陣の奮起に守備陣は応えることができなかった。

 

 なおも攻めに出て中途半端な位置で奪われ、カウンターを浴びる嫌なムードが漂った。この流れを途中出場のFW浅野拓磨が断ち切る。41分、右サイドでボールを受けるとヒールキックを使った巧みなボールタッチで敵の前に出た。このプレーで相手のファールを誘いPKを獲得。これを浅野自らが、落ち着いて右サイドに蹴り込み、点差を5点に広げた。

 

 終了間際には、MF原口元気がPKを与えるも、GK川島永嗣が左手一本でピンチを防いだ。日本はブルガリア相手に7-2と快勝した。

 

 試合後、先制点を決めた岡崎は「あの時間で決められたのはチームにとって大きかった。ブルガリアがああいう形が苦手だと頭に入っていた」とコメント。2得点を記録したものの、余計な2失点を喫したDFリーダーの吉田は「自分たちのミスで失点した。まだまだ足りない」と反省を口にした。

 

 ハリルホジッチ監督は「素晴らしいゲームでスペクタクルだった。オフェンスはレベルが高いものを見せた」と7得点を挙げた攻撃陣を評価した。一方で「失点は嬉しくない。避けることができた失点だった」と試合運びの稚拙を悔いた。母国のボスニア・ヘルツェゴビナとの決勝については「母国との対戦では、今回のようないい試合をしたい」と意気込んだ。

 

 4日後の、大阪でFIFAランキング20位の格上相手にハリルジャパンはどんな戦いを見せてくれるのか。今日の勢いをそのままに東欧の強豪へぶつかってほしいものだ。

 

(文/大木雄貴)