26日、日本サッカー協会は「キリンカップサッカー2016」に出場する日本代表25人を発表した。FW本田圭佑（ACミラン）、DF長友佑都（インテル・ミラノ）らが順当に選出されたほか、MF大島僚太（川崎フロンターレ）とMF小林祐希（ジュビロ磐田）が初招集となった。トゥーロン国際に出場しているU-23日本代表からFW浅野琢磨（サンフレッチェ広島）が選ばれ、同代表を途中離脱して合流する。国内での事前合宿を経て、キリンカップは６月３日からスタート。日本は初戦となる準決勝でブルガリア代表と対戦する。その４日後に決勝と３位決定戦が市立吹田サッカースタジアムで行われる。
23歳の大島と24歳の小林祐。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が、発表直前に示唆していた通り、新たなメンバーが招集リストに加わった。指揮官は２人のMFについて「長い時間をかけて追跡していた」と明かす。
Ｊ１リーグで首位を走る川崎フロンターレから選ばれた大島は「最初に招集されることを聞いた時は驚きました」とクラブを通じてコメントした。大島はリオデジャネイロ五輪出場を決めたU-23日本代表の１人。ハリルホジッチ監督は「パスのテクニックもありますし、ビジョンもいい」と称える司令塔タイプのボランチである。
今シーズンから所属クラブで背番号10をつけている大島。チームも好調で、飛躍の年になろうとしている。本人は「１月のAFC U-23選手権が終わった後に、もっと上でプレーしたいという気持ちが芽生え、今シーズンが始まる時に個人として『今年中に日本代表に入る』という目標を立てていました。やってきたことは間違っていなかったという気持ちでいます。ただ、ここで終わりではないので、日本代表に定着できるように頑張りたいです」と意気込んだ。
もう１人の小林祐には「左利きで非常にクオリティーがある」とハリルホジッチ監督は攻撃面を高く評価している。所属する磐田でもここ３試合連続ゴールと好調をアピールしており、指揮官が視察に訪れた21日のヴァンフォーレ甲府戦でもゴールを決めた。若くから将来を嘱望されていたレフティーがついにＡ代表に入ってきた。
ハリルホジッチ監督は「フィジカル的にはまだまだ伸ばせる。日本の国内で能力がある選手だが、守備にしっかり戻るところはない。ただＡ代表はどちらもできる選手。遠藤（航）や長谷部（誠）のようにボールを奪えというわけじゃないが、（クリスティアーノ・）ロナウドであろうが（リオネル・）メッシであろうが、プレッシャーをかけますし、ボールを奪う」と小林祐には守備面で注文をつけた。
新たに選手を呼んだ一方で、３年連続Ｊ１得点王のFW大久保嘉人（川崎フロンターレ）はまたしても呼ばなかった。とはいえ指揮官も「ここ３年で一番いいゴールゲッターですね。２、３メートルでゴールを決める。Ａ代表で活躍していたシーンも見てきた」と決して33歳のストライカーを評価していないわけではない。
ハリルホジッチ監督は「躊躇している」という言葉を続けた。かねてから若い選手を呼ぶことを公言している指揮官。大久保に対しては「Ａ代表で生きるのか、まだイメージがつかない」のだという。「年齢を考えないといけない。それにＡ代表で結果を残してはいない。彼の特徴は（ペナルティーエリア内の）16メートルでしか見られない。天性のゴールゲッターだが呼ぶのは簡単なことではない。もっと組み立て、ディフェンスにも参加しなければいけない」と理由を述べた。
ただ今後はベテランという理由だけで切り捨てることはないだろう。指揮官はロシアＷ杯アジア最終予選で大久保を招集する可能性については否定しなかった。さらには大久保と同い年のMF今野泰幸（ガンバ大阪）も候補の１人だと明かした。会見でも「ここにいない選手も忘れていない。将来UAEとやるときに必要になるかもしれない」「日本でプレーしようが海外でプレーしようが候補です。パフォーマンスが良ければ呼ぶ」と競争を促すようなコメントを口にした。
６月のキリンカップ、その先の９月のＷ杯最終予選に向けて、サバイバルレースは続く。
【日本代表メンバー】
GK
川島永嗣（ダンディー・ユナイテッド）
東口順昭（ガンバ大阪）
西川周作（浦和レッズ）
DF
長友佑都（インテル・ミラノ）
槙野智章（浦和レッズ）
森重真人（FC東京）
吉田麻也（サウサンプトン）
丸山祐市（FC東京）
酒井宏樹（ハノーファー96）
酒井高徳（ハンブルガーSV）
昌子源（鹿島アントラーズ）
MF
長谷部誠（アイントラハト・フランクフルト）
柏木陽介（浦和レッズ）
香川真司（ボルシア・ドルトムント）
清武弘嗣（ハノーファー96）
小林祐希（ジュビロ磐田）
大島僚太（川崎フロンターレ）
遠藤航（浦和レッズ）
FW
岡崎慎司（レスター・シティー）
本田圭佑（ACミラン）
小林悠（川崎フロンターレ）
金崎夢生（鹿島アントラーズ）
原口元気（ヘルタ・ベルリン）
宇佐美貴史（ガンバ大阪）
浅野琢磨（サンフレッチェ広島）
（文／杉浦泰介）