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(写真:現状のままの形で浦和がJリーグに残ることを願う村井チェアマン)

 9日、Jリーグは都内で臨時理事会を開き、浦和レッズは現段階では存続することを発表した。浦和の筆頭株主である三菱自動車が横浜F・マリノスの筆頭株主の日産自動車の経営傘下に加わるが、現時点では三菱自動車と日産自動車間の資本提携が結実していないため、今回は“現状維持”という発表にとどまった。

 

 Jリーグ規約第3章の第25条(5)には<Jクラブは、直接たると間接たるとを問わず、他のJクラブまたは当該他のJクラブの重大な影響下にある法人の経営を支配しうるだけの株式(公益社団法人または特定非営利活動法人にあっては社員たる地位)を保有している者に対し、自クラブまたは自クラブの重大な影響下にあると判断される法人の経営を支配できるだけの株式(公益社団法人または特定非営利活動法人にあっては社員たる地位)を保有させてはならない>と記されている。

 

 簡潔に言えば、直接間接問わず1オーナーが2つ以上のJクラブを保有してはならないということである。今回の浦和と横浜FMの問題では、村井満チェアマンは「資本移動が確定していない」ため、Jリーグ規約には抵触していないと説明した。

 

 つまり資本移動が確定すれば、日産自動車が三菱自動車の株式をどれほど持つかの比率に関わらず、実質的な関係から会計監査人に三菱自動車を日産自動車の「子会社」もしくは「関連会社」と判断されてしまえば、Jリーグ規約に抵触する。村井チェアマンは浦和の淵田敬三社長に対し、「子会社や関連会社にならないように資本政策をしてほしい」と話したという。

 

 当面、浦和は現状のままだと発表したが、まだまだ油断はできない状況に変わりはない。村井チェアマンは「目指すべき方向性は浦和レッズが、浦和レッズとして、そのままJリーグで戦っていくことをリーグも期待している」と、希望的観測を述べた。浦和はJリーグ1の観客動員数を誇るクラブだ。現状のままの形でのクラブ存続を望むのはチェアマンだけではない。

 

(文・写真/大木雄貴)