11日、2016明治安田生命J1リーグファーストステージ第15節、暫定3位・浦和レッズと同2位・鹿島アントラーズの一戦が埼玉スタジアム2002で行われた。後半7分、エースのFW金崎夢生のゴールで鹿島が先制すると、43分にはMF鈴木優磨が追加点を奪った。鹿島は浦和を2-0で下し、大きな勝ち点3を手にした。

 

 鈴木、自ら獲得したPK決める(埼玉)

浦和レッズ 0―2 鹿島アントラーズ

【得点】

[鹿] 金崎夢生(52分)、鈴木優磨(88分)

 

 ファーストステージの制覇をかけて暫定2位の鹿島(勝ち点30)と同3位の浦和(同27)がしのぎを削った。試合前に首位の川崎フロンターレが勝って勝ち点を34にしていた。試合消化数が2つ少ない浦和は勝てば、今後川崎Fに大きなプレッシャーを与えられる。一方、鹿島は負けると優勝が遠のくだけあって、試合はエキサイティングな展開となった。

 

 序盤、低い位置からビルドアップを試みる浦和、深追いせず狙いどころを定めてボールを奪ったら速攻を仕掛ける鹿島の対照的なスタイルがぶつかり合う構図となった。

 

 浦和は独特のリズムでボールをゆっくり回しつつ、いきなりテンポアップして立て続けに鹿島ゴールに迫った。14分、右ウイングバックの梅崎司がセンタリングを送ると、ゴール前で待ち構えたFW興梠慎三が頭で合わせるも、ゴール右に外れる。16分にはペナルティーエリア手前でボールを持ったMF李忠成がMF武藤雄樹へショートパス。武藤は右足インサイドで合わせるもシュートをふかしてしまう。

 

 対する鹿島も反撃を試みる。28分、MF小笠原満男がペナルティーエリア手前から右足でミドルを狙うもゴール左へそれた。37分にはMF遠藤康が右サイドからクロスを入れる。これをファーサイドで待ち構えていたMFカイオがダイレクトボレー。これはGK西川周作に右手一本で防がれた。いずれもゴールとはならなかったものの、鹿島も譲らない。

 

 上位対決だけあって、気の抜けない展開が続いた前半だったがスコアレスでハーフタイムへ。後半に入ると試合は動く。7分、相手のパスミスをカイオが中盤で拾うと、そのままドリブルでゴール前へと侵入する。カイオは右サイドにポジションをとっていたMF柴崎岳へ展開した。柴崎はダイレクトでグラウンダーのクロスを供給すると、ファーサイドに走りこんでいた金崎が合わせた。「(柴崎)岳がいいボールをくれたので合わせるだけでした」と金崎。手数をかけない鮮やかな鹿島のカウンターが見事にハマり、先制に成功した。

 

 この6分後、追いかける浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督が大胆な策を講じる。MF関根貴大とMF駒井善成の2枚同時投入で流れを引き寄せようと試みる。しかし、この采配は裏目に出てしまう。43分、駒井が途中出場の鈴木とペナルティーエリア内で交錯して、ファウルの判定となりPKを取られる。PKを獲得した鈴木は「100%自信があった。自分が取ったPKだから蹴りました」と自らがキッカーを務め、冷静に決めた。リードを2点に広げた鹿島が、このまま逃げ切り勝利を手にした。

 

 試合後、チームを勝利に導いた石井忠正監督は「タフな戦いになると思っていた。前半は思っていたよりも縦パスを入れられて押し込まれたが、後半は前からプレスに行って相手を押し込めた」と語った。

 

 今節の結果を受けて、鹿島は勝ち点33で2位をキープした。敗れた浦和は順位変わらず勝ち点も27のまま。両チームの勝ち点差は6に開いた。しかし、浦和は鹿島より消化試合が2試合も少ない。この点がよりファーストステージ優勝の行方を複雑にしている。首位を走る川崎Fがこのまま逃げ切るのか。鹿島が川崎Fを捉えるのか。それとも消化試合の少ない浦和が、着実に勝ち点を稼いで頂点に立つのか。三つ巴の優勝争いから、目が離せない。

 

(文/大木雄貴)