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(写真:昨年の男子日本リーグ5位、国体男女総合15位からの飛躍を目指す)

 新チームがスタートして、伊予銀行テニス部の今シーズンは生まれ変わろうとしている。チームを長年牽引してきた主将の植木竜太郎が現役を引退。新キャプテンには入社7年目の廣瀬一義が就任し、明治大学からは弓立祐生が新たに加入した。

 

 

「元々器用な子で、ダブルス中心に起用していた。十分結果も出してくれているのですが、彼にはもうひとつ上のレベルに行ってほしかった」。伊予銀行の秀島達哉監督は廣瀬をキャプテンに任命した理由を語った。大人しい性格の廣瀬は、これまでは前任の植木と比べると言葉よりプレーや姿勢で示していた。だがキャプテン就任後は後輩の意見によく耳を傾けるようになった。その上で流されるわけではなく、自ら判断をして物事を決めている。

 

 秀島監督によれば「これまでは周りの選手についていくタイプだった」という廣瀬。責任感が芽生え、プレーにもいい影響を及ぼしている。5月の全日本選手権西日本大会愛媛県予選を兼ねた国民体育大会愛媛県予選では、本戦で3位に入る健闘を見せた。準決勝で優勝した伊予銀行の佐野紘一に敗れたものの、秀島監督が「100%の出来と言っていい」と称えるほど、大会を通してのプレー内容が良かった。

 

 チームの中心は片山翔、佐野紘一、飯野翔太に変わりはないが、秀島監督は近藤大基と弓立という若手2人に大きな期待を寄せている。

「持っているものはいい。2人の才能が花開けるかどうか。それが今年の伊予銀行のカギになると思います」

 

 2年目の近藤は足のケガで全日本予選は2回戦敗退に終わったが、ポテンシャルは高い。総合力の高いパワーヒッターで、サーブも良く穴は少ない。駆け引きもうまく頭も使えるプレーヤーだ。課題があるとすれば、スタミナ不足か。ファイナルセットに入るなど長丁場になった時にパフォーマンスが落ちる傾向にある。「もう少し動けるようになれば、片山プロを入れても、チーム1、2番手に入ることもできる」と秀島監督の評価も高い。

 

 ルーキーの弓立はベースラインでのグラウンドストロークを得意とするパワーヒッター。後ろからでも攻撃的なストロークができる力強さが売りだ。まだまだ粗削りで、強打に頼っている部分もある。戦術面での駆け引きを覚えれば面白い存在。弓立は愛媛県出身の選手で、秀島監督も小さい頃から知っている。弓立は他のジュニアと比べても抜きんでた存在というわけではなかったが、「一生懸命やることが他の子たちより優れていました」と振り返る。今では身体も大きくなり、高校生時にはインターハイで準優勝するなど頭角を現してきた。それでも「真面目にコツコツとやる」姿勢は変わらない。

 

 片山と女子の波形純理の2人のプロ選手が加入してから2年目になる。「2人とも真面目で、すごく一生懸命やってくれている。“やるからにはチームの力になりたい”という気持ちを全面に出して、溶け込もうとしてくれているので有り難いですね。その中で勝ちにこだわる姿勢は人一倍ある。参考になっていますし、みんなの刺激になっています」と秀島監督。プロ2人のコート内外での貢献は大きい。

 

 チームの二大目標は国体と日本リーグでの好成績だ。まず来年の愛媛国体に向けて、10月のいわて国体では結果を残したいところだ。国体での最高成績は男女ともに3位。競技別の総合では5位である。秀島監督は「まずはそこを超えたいですね」と意気込む。

 

「国体もプロ解禁になり、日本リーグもプロ選手が中心のチームが上に行っている。そこと戦うと思うなら、そのレベルにいかないと勝てない」

 今シーズンは国内のトップ選手たち同様に伊予銀行の選手たちにも国際大会を中心に戦うことを勧めている。トップランカーのいない国内大会でポイントを稼ぐという考え方もあるが、秀島監督は競争の厳しい舞台に身を置かせることで部全体のレベルアップを図る。「国体も日本リーグも出るからには優勝を狙いたい。ただ、まずは目先の一戦一戦を丁寧に戦うことが私たちの目標です。それで結果として優勝できたら最高ですね」。夏を越え、実りの秋を迎えられるのか。伊予銀行のテニスは真価を問われる。

 

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