フランスに「スポーツの夏」が続く。
サッカーの欧州最強を決める「EURO2016」は佳境を迎えているが、その終わりを待たずして世界最高峰の自転車レース「ツール・ド・フランス」が2日に開幕する。
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103回目を迎える今大会、フランス北西部に位置し「西洋の驚異」と謳われるカトリック巡礼地モン・サン・ミシェルが初めてグランデパール(開幕ステージ)の舞台となる。フランス国内のグランデパールも3年ぶりである。
湾上に位置する修道院前からユタ・ビーチまでの188km。カテゴリー4級の山岳地点を経て、海岸線を北上するスプリントコースで激戦となることは間違いなしだ。「海風」というもう一つの敵を制することも最初のマイヨ・ジョーヌ(総合トップの選手に与えられる称号)獲得の条件となるだろう。
第2ステージも面白い。
モン・サン・ミシェルと同じマンシュ県にある内陸部のサンローからスタートし、港町シェルブール・オクトヴィルがゴールとなる183km。第1ステージと同じくカテゴリー4級の地点を経て海岸線に入っていくことになる。ただ開幕ステージと異なるのはラスト3kmからの急こう配。最大こう配14%になり、ゴール前でも上り坂が待ち受けている。「心臓破りの坂」をいかに制すか、ラストの攻防に注目が集まる。
今年も序盤戦から目が離せそうにないと言える。
今大会はグランデパールのモン・サン・ミシェルからフランス国内を時計と逆回りにステージを進めていく。隣国スイスでのステージを経て、フランスに戻ってきて迎える最終第21ステージはパリ近郊のシャンティイからパリのシャンゼリゼ通りでの周回だ。迫力あるスプリントが今年も展開されることになる。
注目は終盤戦で用意されるアルプスでの戦いになるだろうか。
久々の山岳トライアルとなる第18ステージ。サランシュからメジェーヴまでアルプスでの17km。平坦な道はわずかで、あとは坂の連続である。最大こう配17%の上り坂も登場する。しかしゴールまでのラスト2kmは下り坂というから面白い。「上りの鉄人」というだけでは勝てない。締めくくり方が大切になってくるというわけだ。
続く第19ステージはアルベールヴィルからサン・ジェルヴェ・モンブランの146kmのコース。激しいアップダウンが続き、山頂がゴールとなる。第20ステージはカテゴリー超級の山岳ポイントを越えて、最後はゴールまで12kmのダウンヒル勝負となる。「山」を制す者がツールを制すと言っても過言ではあるまい。
魅力あふれる全21ステージ。7月24日までの計22日間(2度の休息日を含む)、計3488km、熱い戦いが繰り広げられる。
4強か、新世代の台頭か
マイヨ・ジョーヌをめぐる戦いは昨年注目を集めた「ファンティスティック4」の面々が今年も中心となりそうだ。
昨年、84時間46分14秒で2年ぶり2度目の優勝を果たしたクリス・フルーム(チームスカイ、イギリス)の下馬評が高い。オールラウンダーながら山岳にめっぽう強く、個人タイムトライアルの距離が長いことも有利に働きそうである。世界最強とも言われるチームスカイのエースであり、2連覇に向けて視界は良好である。
フルームを食い止める一番手となるのが昨年総合2位のナイロ・キンタナ(モヴィスター、コロンビア)だろうか。山岳に抜群の強さを発揮する実力者とはいえ、泣き所はスロースターターぶり。序盤戦からフルームに食らいついていくことができれば、終盤戦の「アルプスでの戦い」が白熱してくるはずだ。コロンビアでは「ナイロマン」と敬意を表され、3度目の正直でツール初優勝に期待する声が日に日に高まっている。
そしてもう1人が、2007年、2009年大会の覇者でフルームとしのぎを削ってきたアルベルト・コンタドール(ティンコフ、スペイン)だ。
コンタドールは33歳のベテラン。落車事故での生命危機、史上5人目のグランツール完全制覇、ドーピングの陽性認定での出場停止……激動の競技人生を歩みながら、今なおトップの地位を譲らない。今季は「ツール・ド・フランス」に照準を合わせて調整しており、王座奪還に並々ならぬ意欲を示している。今季限りでの現役引退を示唆していたものの、4月の「バスク一周」で総合優勝を果たすなど好調を維持していることから先送りに。このツール・ド・フランスの結果が、今後を左右することになりそうである。
「ファンタスティック4」以外で注目の的となっているのが、初参戦のファビオ・アル(アスタナ、イタリア)だ。キンタナと同じ1990年生まれの次世代のスター候補。昨年、ブエルタ・ア・エスパーニャを制し、勢いが増している。ガッツ溢れる走法で、勝負に強いタイプだけに「大穴」の予感も漂っている。
スカパー!ではJ SPORTSで全21ステージを独占生中継する。またスカパー!オンデマンドでもライブ配信され、PC、スマホ、タブレットで視聴可能となる。
今年の夏もシャンゼリゼ通りは沸騰するだろう。
主役となるのはディフェンディングチャンピオンか、新世代か、それとも王座奪回に燃えるベテランか――。
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【ツール・ド・フランス 放送予定】(放送はすべてJ SPORTS)
第1ステージ 7月2日(土) 19:00~翌01:30 ※無料放送
第2ステージ 7月3日(日) 20:55~翌01:30 ※無料放送
第3ステージ 7月4日(月) 20:55~翌01:30
第4ステージ 7月5日(火) 20:55~翌01:30
第5ステージ 7月6日(水) 20:55~翌01:30
第6ステージ 7月7日(木) 20:55~翌01:30
第7ステージ 7月8日(金) 20:55~翌01:30
第8ステージ 7月9日(土) 20:55~翌01:30
第9ステージ 7月10日(日) 18:35~翌02:00
第10ステージ 7月12日(火) 20:55~翌01:30
第11ステージ 7月13日(水) 20:55~翌01:45
第12ステージ 7月14日(木) 20:55~翌01:30
第13ステージ 7月15日(金) 20:55~翌01:45
第14ステージ 7月16日(土) 20:55~翌01:15
第15ステージ 7月17日(日) 19:35~翌01:45
第16ステージ 7月18日(月) 20:55~翌02:00
第17ステージ 7月20日(水) 20:55~翌01:30
第18ステージ 7月21日(木) 20:55~翌01:45
第19ステージ 7月22日(金) 19:35~翌01:30
第20ステージ 7月23日(土) 19:35~翌01:15
第21ステージ 7月24日(日) 22:45~翌04:00
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