テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有は1日、敵地でのトロント・ブルージェイズ戦に先発し、7回、97球を投げて4安打1失点で4勝目(0敗)をあげた。ダルビッシュは4回にメジャー初となるホームランを浴びたものの、それ以外は要所を締め、最小失点で先発の役割を果たした。4勝は両リーグを通じてトップタイ。試合は4−1でレンジャーズが勝利した。
 7回1失点の内容が普通の出来に見えてしまう。最初の1カ月で無傷の4勝をあげた右腕に、そのくらいの安定感が出てきた。

 初回から連続三振を奪う立ち上がり。2回はボールが抜けて、3番アダム・リンドに四球、4番エドウィン・エンカーナシオンに死球と無死一、二塁のピンチを招くも慌てない。打率3割を超えているエリク・テムズをストレートでレフトフライに仕留めると、続く2人の打者を変化球で空振り三振に切ってとる。3回も2つの三振を重ね、序盤3回を無安打でゼロを並べた。

 好調のレンジャーズ打線は2、3回と1点ずつをとり、早くもダルビッシュを援護。だが4回、メジャーのパワーを見せられる。2死から3試合連続ホームラン中のエンカーナシオンに甘く入ったスライダーをとらえられた。打球は右中間スタンドへ飛び込むソロアーチ。1点を失う。

 ただ、移籍5戦目で初の被弾にもダルビッシュに変化はなかった。5回は先頭打者にヒットで出塁を許したものの、次の打者を外角のスライダーで注文通りのゲッツー
に仕留める。続くユネル・エスコバルも外角スライダーを振らせて三振を奪った。

 7回には前の打席で一発を浴びているエンカーナシオンとの再戦。フォークが落ちきらずにセンター前へ運ばれ、これをきっかけに1死一、二塁を走者を背負う。だが下位打線で危なげなくアウトを2つとり、この回でマウンドをセットアッパーのマイク・アダムスに譲った。

 この日のダルビッシュは直球が抜けるシーンがあり、制球に苦しんだ。しかし、スライダーが効果的なことを試合のなかで発見。これを軸にピッチングを組み立てて相手打線を牛耳た。多彩な球種とマウンド上での調整能力があればこそ為せる業だ。4月最後(現地時間)の登板で、またひとつ懐の深さを見せ、5月の戦いに突入する。

<松井、レイズとマイナー契約>

 オークランド・アスレチックスからFAとなり、所属先が決まっていなかった松井秀喜がタンパベイ・レイズとマイナー契約を結んだ。昨季、アスレチックスで打率.251、12本塁打、72打点だった松井は、ここまで契約を名乗り出る球団が現われず、米国でトレーニングを続けていた。

 レイズは現在、ア・リーグ東地区首位。ただ、左の指名打者、代打の層が薄く、メジャー通算173本塁打を放っている松井は補強ポイントと合致した。とはいえ、契約はあくまでもマイナー。結果を残さなくてはメジャーリーグ昇格は勝ちとれない。この6月で38歳となり、ヒザに古傷を抱える松井にとって、バス移動やデーゲームの多いマイナー生活は厳しいものがあるだろう。キャンプ、オープン戦を経ていないため、実戦感覚を取り戻すところからのスタートになるというハンデもある。

 険しい道を突き進み、再びゴジラはメジャーの舞台で火を吹くのか。この先の野球人生を大きく左右するプロ入り20年目のシーズンが、ようやくスタートする。