7日(日本時間)、フランスでEURO2016の準決勝、ポルトガル(FIFAランキング8位)対ウェールズ(同26位)が行われた。前半はスコアレスで折り返したが、後半5分にポルトガルがFWクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード)のゴールで先制する。ポルトガルは、その3分後にFWナニ(フェネルバフチェ)が追加点を奪った。試合はそのままポルトガルが2-0で制し、11日の決勝に駒を進めた。

 

 ロナウド、1G1Aの活躍(リヨン)

ポルトガル 2-0 ウェールズ

【得点】

[ポ]クリスティアーノ・ロナウド(50分)、ナニ(53分)

 

 12年ぶりの決勝進出を狙うポルトガルと、EURO初出場ながら快進撃を続けてきたウェールズの一戦。ポルトガルは守備の要であるDFペペ(レアル・マドリード)を怪我で欠き、一方のウェールズは司令塔のMFアーロン・ラムジー(アーセナル)が累積警告でプレーできない。また、所属クラブでは同僚のロナウドとFWガレス・ベイル(レアル・マドリード)のエース対決にも注目が集まった。

 

 前半、ポルトガルはウェールズの5バック気味の守備ブロックに手を焼く。ロナウド、ナニにボールを集めたいが、バイタルエリアは守備を固められ、ゴールから離れた位置でしかプレーさせてもらえない。すると流れはウェールズへ傾く。

 

 20分、右サイドでベイルにボールが渡ると、縦に突破しグラウンダーのクロスをニアへ入れる。このボールにMFアンディ・キング(レスター)が勢いよく飛び込むが、あと一歩タイミングが合わなかった。続く23分、ハーフウェーラインの右サイドでボールを受けたベイルは、軽やかな足さばきで相手DFのタックルをかわした。一気にポルトガル陣内へドリブルで運ぶ。ペナルティーエリア手前で内側に切れ込んだベイルは、左足でミドルを放つもGKの正面をついた。0-0のまま前半は終了。結果的に、この時間帯でウェールズがゴールを奪えなかったことがゲームの行方を左右してしまった。

 

 後半に入ると、ポルトガルのエースが牙をむく。5分、左CKをショートコーナーで変化をつける。この間に中で待ち受けるロナウドはジグザグに動き、マーカーを混乱させる。DFラファエウ・ゲレイロ(ロリアン)が左足でクロスを供給すると、ロナウドが滞空時間の長いジャンプで頭一つ抜け出し、ヘッドでボールを叩く。強烈なヘディングシュートはゴールネットに突き刺さった。エースの今大会3得点目で待望の先制点を奪った。

 

 その3分後にポルトガルは追加点を決める。得点に絡んだのはまたしてもエースだった。ロナウドはペナルティーエリア手前のやや右サイドでこぼれ球を拾うと、ミドルシュートを放つ。この低い弾道のシュートをゴール前にポジションを取っていたナニが、スライディングをしながら右足でコースを変えた。ウェールズのGKウェイン・ヘネシー(クリスタル・パレス)はこれに反応できず、ゴールネットが揺れる。ポルトガルは喉から手が出るほど欲しかった2点目を早々に決めて優位に立った。

 

 2点を追いかけるウェールズは、ゲームを作るべく、ベイルが中盤まで降りてくるが肝心のゴール前でボールがもらえない。ゲームメーカーのラムジー不在の影響が色濃く出てしまった。終盤にベイルがシュートを数本放つが、ロングレンジからしか打たせてもらえず、ゴールを割れない。そのまま2-0で試合は終了し、ポルトガルが今大会初めて90分で勝利を手に入れた。

 

 ポルトガルは4日後、開催国フランス(同17位)とW杯王者ドイツ(同4位)の勝者と戦う。どちらが勝ち上がってきても見応え十分な決勝である。さらに、ロナウドはこの試合のゴールで大会通算9点目となり、歴代1位の元フランス代表ミシェル・プラティニに並んだ。決勝の地・サンドニでロナウドが将軍の持つレコードを塗り替えるかにも注目だ。

 

(文/大木雄貴)