「マツダオールスターゲーム2016」第1戦が15日、福岡ヤフオクドームで行われ、坂本勇人(巨人)のソロホームランで先制した全セが勝利した。全セは坂本の他、筒香嘉智(横浜DeNA)、ウラジミール・バレンティン(東京ヤクルト)にもホームランが飛び出した。全パは長谷川勇也(福岡ソフトバンク)のソロホームランなどで対抗したが1点及ばなかった。なおゲーム前に行われたホームランダービーは大谷翔平(北海道日本ハム)が優勝した。


◇第1戦
 MVPは本塁打と二塁打の横浜・筒香(ヤフオクドーム)

全セ   5 = 000|120|002
全パ   4 = 000|010|012
(セ) 菅野-○藤浪-野村-三上-マシソン-S中崎
(パ) 和田-●石川-則本-マーティン-塚原-サファテ
本塁打 (セ)坂本ソロ、筒香ソロ、バレンティンソロ
    (パ)長谷川ソロ、栗山2ラン

 昨年は全セが2連勝したオールスターゲーム。雪辱を期す全パは、リーグトップタイの9勝をあげている和田毅(ソフトバンク)を先発投手に起用した。和田は今シーズン5年ぶりに日本球界に復帰し、今回で5度目の球宴出場である。対する全セの先発は菅野智之(巨人)、こちらは防御率1.58(リーグ1位)と抜群の安定感を持つ。大方の予想どおりに2人が投げた序盤は引き締まった投手戦となった。


 初回、和田は全セの攻撃を1番・丸佳浩(広島)、2番・川端慎吾(ヤクルト)、3番・坂本の3人で抑えた。全セの菅野も秋山翔吾(埼玉西武)、角中勝也(千葉ロッテ)、柳田悠岐(ソフトバンク)と全パの強打者をぴしゃりと抑えた。続く2回も和田、菅野ともに走者を許さないピッチングを見せた。

 

「力と力の勝負にこだわった。1球だけ変化球を投げたけどあとはストレート。ファンのみなさんに良い対決を見せられたと思う」
 2回を無安打1三振で抑えた菅野は、満足そうに語った。

 

 3回表、全パの投手は石川歩(千葉ロッテ)に代わった。この回は無安打に抑えた石川だったが、4回に坂本に一発を浴びた。
 2死ランナーなし、3ボール1ストライクから、ストレートを叩いた坂本の打球はレフトスタンドへ。この先制弾で全セの打線に勢いが出た。
 5回表、全セの打線が全パの投手、則本昴大に牙をむいた。まず則本の代わりばなを叩いたのが筒香だ。2ボール1ストライクから、筒香は則本が投じた変化球に若干体勢を崩されながらもジャストミート。ライトスタンドに突き刺さるホームランで全セが追加点をあげた。オールスター初ホームランを放った筒香は「特別な舞台での一発。本当にうれしいです」と喜びを語った。

 

 この後、シーズン好調の新井貴浩(広島)が凡退したあと、今度はバレンティンのバットが火を噴いた。右中間スタンド中段に飛び込むホームランで、全セが3対0とリードした。
 全セは菅野の後を受けた、藤浪晋太郎(阪神)が2イニングを無得点に抑え、野村祐輔(広島)は長谷川にソロホームランを浴びたものの3対1とリードを保った。

 

 両チーム、ここまでホームランだけの得点だったが8回裏に全パが、ツーベースで出塁した鈴木大地(千葉ロッテ)をチームメイトの田村龍弘(千葉ロッテ)がタイムリーヒットで迎え入れた。高卒4年目の田村はオールスター初打席初ヒットである。
 3対2で迎えた9回表、全パのマウンドには守護神のデニス・サファテが上がった。一塁に内野安打の菊池涼介(広島)を置いて打席に入ったのは、目下売り出し中の鈴木誠也(広島)。鈴木の打球はサード後方に上がるポップフライとなった。イージーフライと思われたこの打球を、サードのブランドン・レアード(日本ハム)とレフトの栗山巧(西武)がお見合い。鈴木のオールスター初打席はまさかの"ポテンヒット"となった。
 この後、DeNAのルーキー、戸柱恭孝がセンター前タイムリーを放ち2点を追加した。

 

 9回裏、全セのベンチは広島の守護神・中崎翔太をマウンドに送った。糸井嘉男(オリックス)の四球の後、打席に入ったのはプロ入り15年目でオールスター初出場の栗山。1ボール1ストライクから高めのストレートを強振した栗山の打球は、バックスクリーン横に飛び込む2ランとなった。笑顔でダイヤモンドを一周した栗山を、満員のファンは大歓声と拍手で讃えていた。

 栗山の2ランで1点差に迫った全パ。なおも1死でエルネスト・メヒア(西武)、レアード、そして大谷とサヨナラも期待される打順だったが、中崎がメヒア、レアードを抑えてゲームセット。全セが先勝した。

 

 MVPを獲得した筒香は「明日も(MVPが)取れるようにがんばります」とヒーローインタビューを締め括った。16日の第2戦は横浜スタジアムに場所を移して開催される。先発投手は全セが石田健大(DeNA)、全パが涌井秀章(ロッテ)だ。

 

<文/西崎のぶゆき>