16日、プロ野球の交流戦が開幕する。ホーム12試合、ビジター12試合の計24試合を戦い、優勝チームには5000万円、最優秀選手には200万円の賞金が贈られる。過去7年間はパ・リーグの球団が制しており、リーグ全体での戦績を比較しても、セ・リーグが勝ち越したのは2009年のわずか1度きり。10、11年は2年連続で20勝以上の差が出るなど、ますますパ・リーグが優位に立っている。8年目の今季は、どんな戦いが繰り広げられるのか。
 今季の交流戦は、昨季までとは違う展開が見られる可能性も示唆されている。その最大の理由は、昨季までのパ・リーグのエースがそろって不在であるということだ。ダルビッシュ有(レンジャーズ)、和田毅(オリオールズ)、岩隈久志(マリナーズ)は海を渡り、杉内俊哉、ホールトンは巨人に移籍。田中将大(東北楽天)は故障でファームへ、涌井秀章(埼玉西武)は不調からリリーフにまわっている。金子千尋(オリックス)においても、3月から腰の張りを訴え、今月8日にようやく初勝利を挙げたばかりだ。

 そんな中、昨季から採用されている低反発の統一球の影響は今季も顕著で、セ・パともにロースコアでの展開が少なくない。対戦数が少なく、同一カードが2試合ずつの交流戦では、さらに投高打低の傾向が強まることだろう。そう考えると、現在のチーム防御率を見ても、セ・リーグの方が投手陣が安定しており、交流戦でも有利だという見方ができる。

 なかでもセットアッパー浅尾拓也を欠きながら、リーグトップの防御率2.04を誇る中日、先発陣が豊富な阪神(2.08)と巨人(2.10)の3球団には、十分に初優勝の可能性がある。特に巨人は、パ・リーグの打者を熟知している杉内とホールトンの存在が大きく、交流戦は巻き返しを図るチャンスとなりそうだ。

 一方、これら3球団に匹敵する防御率2.07をマークしているのが、日本ハムだ。絶対的エースのダルビッシュを欠いた日本ハムだが、開幕投手を務めた2年目の斎藤佑樹と武田勝がチームトップの4勝をマーク。加えて3年間、勝ち星のなかった吉川光夫が12球団トップの防御率1.07と安定したピッチングで3勝(2敗)。多田野数人、八木智哉もそれぞれ防御率1点台で2勝をマークするなど、ダルビッシュの穴を投手陣全体でカバーしている。

 逆に、不調のエース涌井を抑えにまわした西武は、12球団ワーストの防御率3.88と苦しんでいる。主砲・中村剛也の不調が続くなど、打線もチーム打率2割2分8厘はリーグワースト。昨季、リーグ断トツトップの103本を誇った本塁打数も、12球団で唯一の一ケタ台(7本)にとどまっている。09年には交流戦前まで4位と低迷していたソフトバンクが交流戦で優勝し、一気に首位タイに浮上した例もある。西武にとっては、この交流戦での戦いが正念場となりそうだ。

 交流戦でさらに貯金を増やし、チームを勢いづかせることができるか。そして、いかに借金を減らし、チームの再建を図れるか――。後半戦を占う意味でも、交流戦での戦いがどのチームにとっても重要であることは言を俟たない。果たして、セ・リーグから初優勝のチームが誕生するのか。それともパ・リーグが強さを発揮するのか。明日16日、戦いの火ぶたが切って落とされる。